求人の多くが筆記試験あり
一般常識や適性検査などの筆記試験が行われるのは、新卒採用の時だけと思っている人も多いかもしれませんが、そうではありません。ある大手転職サービス会社の調査によると、筆記試験ありの求人は全体の51%。職種別に見ると、筆記試験が最も多いのは「技術系(機械/電気)」(66%)で、次いで「技術系(化学/食品)」(63%)、「技術系(建築/土木)」(54%)となっています。製造業(メーカー)における技術系の職種では、専門性のあるスキルなどの習得が求められます。そのため、比較的長期にわたるキャリア形成が必要であり、職務との適合性が重視される傾向が強いようです。筆記試験の実施には、そうした適合性を測るという意味合いがあると考えられます。
一方、筆記試験が少ない職種は「クリエイティブ系」(38%)、や「医療系専門職」(39%)、「販売・サービス系」(41%)。これらの職種の中途採用では、すでに持っている資格などが重視される場合が多く、筆記試験を実施する求人は少ないといえます。
筆記試験を行う目的、その重要度は?
2018年4月に、法定雇用率が引き上げられたこと、また2020年度末までには、さらなる引き上げが見込まれることもあり、企業の採用活動が活発化している傾向にあります。数多い求職者の中からよりよい人材を採用するために筆記試験を実施し、ある程度絞り込もうと考える企業が増えているようです。
特に、「即戦力」が期待される中途採用の場合は、障がいの有無に関係なくその企業・組織が求める人物にマッチしているかどうかを判断するために適性検査を用いるケースも多いようです。
筆記試験の結果をどの程度重視するかについては、企業によって異なります。中途採用の場合は、総じて面接重視の会社が多いのは確かですが、あまりに試験の出来が悪いと、それが原因で落とされることも十分考えられます。
傾向としていえるのは、一次選考として面接前に筆記試験を実施する場合、点数で振るい落とし、面接と筆記試験を平行して行う場合は、組織で活躍できる人材であるかどうか、その組織との「マッチング」をみる材料として用いられます。最終選考の段階で行われるものは形式的な意味合いが強いものもあるようです。ただし、試験の出来によってはこの段階で落とされることもあり得るので、油断は禁物です。
よく行われる筆記試験の種類とその対策
障がいの有無にかかわらず筆記試験は一定の採用基準になります。筆記試験があることがわかっているなら、しっかりと対策を立てることが大切です。また、障がいによって特別なスペースや道具を必要とする場合には、事前に相談するようにしましょう。
中途採用で行われる筆記試験は、大きく分けて適性検査、一般常識、論文の3つ。企業によって出題形式、内容が異なるので、事前に調べて対策を立てておくことをお勧めします。
【適性診断】
適性検査には、大きく「能力検査」と「性格検査」があります。能力検査は、知的能力(言語・非言語)、論理的思考力、情報処理能力、一般常識などを測定するもので、性格検査は行動・志向・情緒の特性を測るもの。両方がセットになっているものが多いようです。ただし、企業が重視する傾向のある「マッチング」に直結するのは性格検査のほうで、中途採用では性格検査だけを行う企業もあるようです。
対策:性格検査は、似たような問題を散りばめて回答の矛盾から虚偽性を見極める仕組みもあるので、素直に回答することが大切です。
能力検査は、とくに難易度が高いわけではありませんが問題数が多く、問題を解く速さが求められるため、問題に慣れておくことが重要です。問題集なども多数販売されているので、購入してじっくりこなしておくといいでしょう。
【一般常識テスト】
社会人として最低限要求される一般常識があるかどうかを判断するもので、言語問題や非言語問題があります。社会人なら比較的答えやすい基本的な事柄がほとんどですが、国語、数学、英語、社会、理科、文化、時事などの分野から幅広く出題されます。
対策:問題集が多数販売されているので、1冊購入しておくと出題傾向がつかめるでしょう。ほかに、Webサイトの練習問題などを問いたり、日頃から時事問題やニュースを意識しておくことが大切です。
【論文】
一般企業で「論文」の提出を求める企業はそう多くはないようですが、研究職や、企画・編集などクリエイティブな職種、コンサルタントなど文章での説明能力が求められる職種で実施されることがあります。
対策:普段からニュースや新聞、Webサイトのコラムなどをチェックする、興味のあるテーマについて解説を書いてみるなど、文章に慣れておくようにしましょう。