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ハローワークの役割、受けられるサービスとは
転職活動を行うにあたり、一人で進めると分らないことがあったり、不安を抱えたまま活動してしまうことも多いのではないでしょうか。その際、豊富な情報や専門的な知識をもった方のアドバイスを受けたり、活動に関して相談できる窓口があると、スムーズな活動や自身に合う企業との出会いに繋がりやすくなるでしょう。特に、障がいのある方にとっては、障がい内容と業務の関連性や職場で受けることのできる配慮など、障がいに関する情報も知っておいた方が良いケースが多くあります。
豊富な情報を得られたり、相談できる相手がいることは、転職活動を行う上で有効な手段の一つといえます。では、障がい者が転職活動をする際に相談できる支援先にはどのようなものあるのでしょうか。
障がい者雇用におけるハローワークの存在
転職活動を支援する機関の一つに、ハローワークがあります。ハローワークは国が運営する行政機関であり、正式な名称は公共職業安定所です。全国に544カ所あるハローワークにおいて、その利用状況をみてみましょう。厚生労働省から2019年6月に発表された「平成30年 障害者の職業紹介状況等」によると、新規の求職者申込件数は21万1271件で前年度から4.5%の増加でした。また、就職件数においては10万2318件で、前年度と比べ4.6%増、10年連続での増加になりました。この数字からも、多くの障がい者が就職・転職活動を行う際に、ハローワークを利用していることが分かります。
就職状況を障がい内容別に詳しくみると以下の通りです。
- 身体障がい者
新規求職者申込件数6万1218件(構成比29.0%)
就職件数2万6841件(対前年度 85件増、0.3%増) - 知的障がい者
新規求職者申込件数3万5830件(構成比17.0%)
就職件数2万2234件(対前年度 1247件増、5.9%増) - 精神障がい者
新規求職者申込件数10万1333件(構成比48.0%)
就職件数4万8040件(対前年度 2976件増、6.6%増)
また、産業別の就職件数では、多い順に、「医療・福祉」(3万5541件、構成比34.7%)、「製造業」(1万4510件、同14.2%)、「卸売業・小売業」(1万2607件、同12.3%)、「サービス業」(1万868件、同10.6%)などとなりました。
ハローワークで受けられるサービス、利用のポイント
利用者が年々増加しているハローワーク、では、そのサービスについてご存じでしょうか。主なサービス内容は、求職者への求人情報の紹介になりますが、ただ紹介するだけではなく、相談や活動のサポートなど、転職にかかわるさまざま支援を提供しています。具体的には以下のようなものがあります。
- 求人紹介
- 活動に関する相談
- 職業訓練等の相談
- 自己分析や書類作成のサポート
- 面接対策
- 紹介状の発行 など
ハローワークの相談窓口は、障がいのある方とない方とで窓口が異なり、障がいのある方には、専門の相談員が対応するため、障がいへの理解もあり安心です。加えて、精神障がい者の方には、「精神障害者雇用トータルサポーター」が配置されており、カウンセリングや就職に向けた準備プログラム等を受けることも可能です。窓口に関しては総合窓口もあるので、どのように活動するか迷っている場合には、総合窓口を利用すると良いでしょう。
相談にあたるのは職業指導官、就職促進指導官などの専門スタッフで、活動のアドバイスやサポート、相談内容をふまえた求人紹介をします。また、ハローワークでは障がいへの配慮として、施設や曜日によって手話や筆談ができるスタッフが対応することもあるため、事前に確認しておくと、利用しやすくなります。
便利な「ハローワークインターネットサービス」利用のススメ
転職活動にかかわるさまざまなサポートを受けることのできるハローワークですが、障がい内容によっては、なかなかハローワークに行くことができない方もいます。そういった方でも、自宅などから容易にサービスを利用できるのが、ハローワークインターネットサービスです。2020年1月には、機能も新しくなったこのサービス。そこで、ここではその概要や新機能について紹介していきます。
サービスの概要、利用方法に関して
ハローワークインターネットサービスは、全国のハローワークで受け付けた求人情報をインターネットから検索、調べることができるサービスです。自宅から求人を確認できるため何度もハローワークへ出向く必要がなく、また新しい情報を随時チェックできるメリットがあります。
ハローワークで障がい者求職登録を済ませておくと、インターネット上で求人を探し、応募したい企業があれば紹介状をハローワークに取りに行く、ないし郵送してもらった上で、紹介状を持って面接会場に向かうといった流れで選考を受けることができます。
2020年1月にリリースされた新機能に関して
ハローワークインターネットサービスをより利用しやすくすることを目的に、新サービスが追加されました。主な変更内容は3つ、以下の通りです。
- モバイル対応
これまでPCからの検索だったサービスが「スマートフォン」や「タブレット」にも対応されました。それぞれの端末の画面に最適化されるため、より快適に閲覧することが可能です。 - マイページ開設
ハローワークインターネットサービス上にマイページを開設できるようになりました。「求職者マイページ」ができたことで、気になる求人や求人検索条件の保存が可能になり、求人内容の確認や検索が容易になります。 - 求人情報の充実とマッチング支援
求人票に記載される情報が一新されました。掲載される情報が充実することで、企業等への理解が深まり、自身に合う企業をより探しやすくなります。そして、情報が豊富になったことで、より充実した職業相談・紹介を行い、適格なマッチング支援をすることができるようになりました。
一新された求人情報の具体的な内容としては、労働条件や企業のPR情報がより詳細になりました。「正社員登用」や「受動喫煙対策」、「必要なPCスキル」、「固定残業代」などの情報が新たに追加され、また、画像情報や事業所PRなど情報がハローワーク内のパソコン(検索・登録用端末)やハローワークインターネットサービス上で見ることが可能になりました。
ハローワークを有効活用するコツ、留意点
障がい者の就職・転職活動で大きな役割を担うハローワークでは、就職を希望する障がい者に対して、専門職員や職業相談員が障がいの種類や程度に応じて、職業相談や紹介、職場定着の指導などさまざまなサポートを行っていることが分かりました。加えて、「障害者就業・生活支援センター」や「地域障害者職業センター」と連携しながら行う就職支援も実施しています。関係機関と連携することで、就活準備から職場適応、職場定着まで幅広い支援が可能なのです。では、実際にハローワークを利用して、求人を探す際には、どのような点がポイントになるのでしょうか。
条件に合う求人を探すポイント
ハローワークでは、企業が求人を無料で掲載することができることもあり、数多くの求人情報が集まります。このことは、ハローワークの特徴の一つであり、さまざまな求人を見れるというメリットでもありますが、同時に、情報量が多い分、自身に合う求人と出合うことが難しくなる可能性もあります。そのため、より希望に沿った求人を探す上で、いくつかのポイントに注意してみましょう。
- 募集されている頻度や期間を確認
長い間、掲載が続いていたり、頻繁に掲載されている求人は、その理由を確かめてみると良いでしょう。人手不足が続いている原因が事業拡大を継続しているからなのか、定着率が悪いためなのか、など理由によって企業の印象も変わってきます。 - 条件の再確認
求人内容については、相談員から説明やアドバイスをもらえますが、給与や待遇、休暇、障がいへの配慮などの気になる点は、特に注意して事前に確認しておくと安心です。企業との面談の場においても、上記のような気になる点がある際は、そのままにして入社を決めてしまうのではなく、慎重に再度確認しておくことがミスマッチの防止につながるはずです。 - 企業の情報を収集
ハローワークでも多くの情報を得ることができますが、情報源を一つに絞らずにさまざまなところから調べるのもポイントです。企業HPはもちろん、他の求人サイトに掲載している情報、先輩社員、地元企業であれば口コミなど、しっかりと調べるほど企業への理解が深まるだけでなく、それまで知らなかった企業の一面や魅力を知ることにもつながり、より良いマッチングを図れるでしょう。 - ハローワーク以外でも活動
ハロワーク以外からの情報収集がポイントの一つと先に述べましたが、これは転職活動自体にも言えることです。活動手段を一つに絞らず、他の転職サイトやエージェントなども調べてみましょう。より自身に合った活動方法が見つかるかもしれません。
その他転職支援サービスの併用がおススメ
ここまで障がいのある方の転職支援に関して、ハローワークの概要やサービス内容、利用のポイントなどを紹介してきました。国が運営する公的な機関として、多くの求人情報を取り扱う情報力や関係機関と連携した充実した支援、新しくなったインターネットサービスなど、転職を考える人にとって大きな助けとなっていることが分かったと思います。
転職支援にはその他にもさまざまなサービスがありますが、中でも、幅広い支援内容のもと充実したサポートを行っているサービスの一つが転職エージェントです。
一般的に転職エージェントの場合、無料で求人情報を掲載できるハローワークと比べ、情報量では及ばないものの、大手企業の求人や比較的スキルの高い求人情報が集まる傾向にあるようです。また、非公開求人が多いのもポイントの一つ。非公開求人は、他社との競合を避けるため、あるいは新規プロジェクトに不可欠な人材を確保するために一般的な求人サイトなどに情報を掲載していない求人案件なので、活用することで活動の幅が広がる可能性が大いにあります。
また、転職エージェントでは、キャリアアドバイザーなど専門的なスタッフが活動をサポートしてくれるので、活動に不安がある人や専門的なアドバイスをもらいながら進めたい人などはぜひ活用したいところです。