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50代での転職は難しいとお考えの障がいをお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、国の制度改正や企業側のニーズの変化により、現在、50代の障がい者の方の転職市場は追い風が吹いています。
豊富な経験やスキルは、年齢を重ねたからこその大きな強みとなります。この記事では、50代の障がい者の転職の現状や、企業が期待していること、失敗しないコツ、成功例を解説します。
50代の障がい者は転職のチャンスが十分ある!
50代という年齢を理由に転職を諦める必要はありません。障がい者雇用においては50代が多く雇用されており、法改正により企業側の採用意欲も高まっています。
障がい者の雇用者数は50代が多くを占める
厚生労働省が発表した『令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書』の概況を見ると、身体障がい者・精神障がい者・発達障がい者のいずれにおいても、50代の雇用者数が多くを占めていることが分かります。
厚生労働省『令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書』のデータより作成
このデータは、50代の障がい者を受け入れる企業が数多く存在し、そのニーズが高いことを示しています。豊富な経験と知識を持つ50代の障がい者は、企業にとって価値ある人材として評価されていると考えられます。
出典:厚生労働省『令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書』
高齢者雇用安定法の改正が追い風に
『高齢者雇用安定法』の改正は、50代の転職活動にとって追い風となっています。
この法律では、障がい者を含むすべての労働者が65歳まで安定して働けるよう、以下の高齢者雇用確保措置のいずれかを企業に義務づけています。
- 65歳までの定年の引き上げ
- 希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
- 定年制の廃止
高齢者雇用確保措置は2013年から規定されたものの、長らく経過措置が取られていました。2025年4月1日の法改正で経過措置が終了したことで、現在では完全に義務化されています。
加えて、2021年4月1日の法改正では、70歳までの就業機会を確保するための措置も努力義務として規定されています。
これらの改正により、定年まで期間が短いという理由で50代の雇用に消極的だった企業の姿勢が変わる可能性があります。
出典:e-Gov法令検索『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律』/厚生労働省『高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~』『高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~』
2026年7月には法定雇用率が段階的に引き上げられる
『障害者雇用促進法』によって、一定以上の規模の企業においては従業員数に占める障がい者の割合を法定雇用率以上にすることが義務づけられています。
法定雇用率は2024年4月に引き上げられましたが、2026年7月にはさらなる引き上げと対象の拡大が決まっています。
現在 | 2026年7月以降 | |
法定雇用率 | 2.5% | 2.7% |
法定雇用率の対象となる企業 | 従業員が40人以上 | 従業員が37.5人以上 |
法定雇用率の改正により、障がいをお持ちの方に向けた求人の増加が期待できます。
出典:e-Gov法令検索『障害者の雇用の促進等に関する法律』/厚生労働省『障害者の法 定雇用率引上げと支援策の強化について』
2025年4月より除外率の引き下げも
2025年4月より、除外率の引き下げが行われました。除外率とは、業種の特性により障がい者の就労が困難とされる職種において、法定雇用率の算定基礎となる労働者数から除外できる割合のことです。
引き下げ後の除外率
業種 | 除外率 |
非鉄金属第一次製錬、精製業・貨物運送取扱業 | 5% |
建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業など | 10% |
港湾運送業、警備業 | 15% |
鉄道業、医療業、介護老人保健施設など | 20% |
狩猟業を除く林業 | 25% |
金属鉱業、児童福祉事業 | 30% |
視覚障がい者に対する教育を行う学校を除く特別支援学校 | 35% |
石炭、亜炭鉱業 | 40% |
道路旅客運送業、小学校 | 45% |
幼稚園、幼保連携型認定こども園 | 50% |
船員などによる船舶運航等の事業 | 70% |
除外率の引き下げにより、障がい者雇用がこれまで以上に促進されることになります。対象となる業種への転職を検討されている方にとっては、転職活動を開始するには適したタイミングといえます。
出典:厚生労働省『障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について』
50代障がい者に企業が期待すること
企業が障がいのある50代の採用を検討する際、年齢を重ねたからこそ備わっている経験値と安定性に期待を寄せています。長年の就労経験がもたらす専門性と責任感は、企業にとって大きな魅力といえます。
実務経験の豊富さ
50代が持つ最大の強みは、これまでに培ってきた豊富な実務経験です。前職での経験やスキルを活かして、入社後すぐに即戦力として活躍してもらえることを企業は期待しています。
そのため、転職活動を行う際には、まず自身のスキルを詳細に洗い出し、「できること」を明確にすることが重要です。営業経験・事務処理能力・専門的な技術など、これまでに身につけたスキルを整理し、応募企業のニーズとどのようにマッチするかを具体的に示すことで、採用の可能性を高められます。
安定した就労
50代で障がいをお持ちの方は、企業から見て安定した就労と責任感を見込める人材です。
50代まで障がいを抱えながらも継続して就労してきた実績は、企業にとって安心材料となります。長期間にわたってキャリアを築いていることから、自分の障がいとも客観的な付き合いができていると判断されます。
また、働くうえで必要な配慮を具体的に伝えられると期待できるため、企業側にとって受け入れ態勢を整えやすくなる点もポイントです。
50代の障がい者が転職で失敗しないコツ
50代での転職を成功させるためには、企業が期待するポイントを押さえるだけでなく、自身の心構えも大切です。ここでは、転職活動をスムーズに進めるための3つのコツをご紹介します。
転職する理由と目的を明確にする
なぜ転職を決意したのか、どのような目標を持って新しい職場を探しているのかを明確にしておく必要があります。
50代での転職の場合、これまでのキャリアを大きく変えることになることから、面接官から転職理由や経緯について詳しく聞かれやすくなります。
前向きな理由や志望動機を準備し、これまでの経験をどのように新しい職場で活かしたいかを具体的に説明できるようにすることがポイントです。ネガティブな転職理由があっても、前向きな表現に変換することで、面接官への印象もよくなります。
謙虚な姿勢を示す
謙虚さは、50代での転職を成功させるうえで重要な要素です。
どれだけ前職で豊富な経験を積んでいても、転職先では新人としてスタートすることになります。経験豊富であることは強みですが、それが慢心につながらないようにする必要があります。
年下の先輩や同僚であっても、その人たちの指導や意見に真摯に耳を傾ける姿勢が大切です。職場によって文化やルールは異なるため、謙虚に学ぶ姿勢を持つことで、職場での円滑な人間関係を構築できます。
柔軟な対応力をアピールする
50代の転職においては、新しい業務や環境に対応した経験を積極的にアピールすることが重要です。
年齢による経験の豊富さは強みとなる一方で、環境の変化に順応できないのではないかと思われる要因にもなり得ます。これまでのキャリアの中で変化に対応した具体例を用意することで、面接官に対して柔軟な対応力をアピールできます。
変化への対応の具体例
- システム変更への対応
- 部署異動での適応
- 新しい技術の習得 など
変化を恐れずに新しい挑戦を歓迎する姿勢を示すことで、企業側の不安を払拭して採用につなげやすくなります。
50代の転職に成功したケースを紹介
50代で転職を成功させて新しいキャリアを築いている方はたくさんいます。ここでは、転職を成功させた50代の方の事例をいくつかご紹介します。ぜひ、ご自身の転職活動の参考にしてください。
K.A(51歳 女性)さんのケース
上下肢障がいを持つK.A.さんは、8年間勤めていたIT企業のグループ会社に転籍したことで待遇や業務内容が変わったことで転職を検討するようになりました。
転職活動においてはエージェントサービスを活用し、履歴書や職務経歴書の添削、企業研究のサポートを受けることで、複数社の面接に進むことができました。
現在は以前と同じIT業界の別企業で営業事務の仕事に就かれ、組織横断的なプロジェクトにも参加されています。
H.H(52歳 女性)さんのケース
H.H.さんは実家のスーパーで仕事をしていましたが、直腸の緊急手術により立ち仕事が難しくなり、より体に負担の少ない仕事への転職を考え始めました。
転職活動の当初はなかなか希望に合う転職先を見つけられませんでしたが、転職エージェントの助言をきっかけに、未経験だった金融機関のロビーアテンダントに挑戦しました。
前職で培った接客経験を活かし、現在は体の負担が少ない環境で、3か月に一度の通院も気兼ねなくできる働きやすい職場に就職されています。
K.H.(54歳 男性)さんのケース
会社の業績不振により早期退職制度を利用した54歳のK.H.さんは、転職エージェントを活用して転職活動に取り組みました。
時間はかかったものの、面談や応募書類の添削などのフォローをはじめ、アドバイザーのサポートを受けることでつらい時期を乗り越え、転職に成功しています。
転職後は、前職とは異なる情報システム関連企業で技術管理の仕事をされています。未経験の業務でも興味があることをはっきりと伝えたことが良い結果につながりました。
K.O.(53歳 男性)さんのケース
上肢障がいのK.O.さんは、飲食業界で調理の仕事をしていましたが、障がいとの関連で包丁を思うように扱えなくなってきたと判断し、転職を決意しました。
最初は障がいを理由に未経験の事務職を希望していたものの、転職エージェントのアドバイザーとの面談でさまざまな提案を受けたことで選択肢が広がりました。
転職活動の結果、現在ではビジネスサービス関連企業の正社員としてメール室業務を行っています。
転職にはキャリア・アドバイザーの活用が有効
50代で障がいをお持ちの方の転職活動は、一人で行うには不安な点や難しい点もあるかもしれません。そんなときは、障がい者の転職支援に特化したキャリア・アドバイザーのサポートを受けることを検討してみてはいかがでしょうか。
障がい者雇用に特化したエージェント・サーナでは、応募書類の作成支援から面接対策まで、転職活動のあらゆる段階でキャリアアドバイザーによるサポートを提供いたします。
転職に関する不安を一人で抱え込まず、プロのアドバイスを活用することが有効です。
まとめ
50代で障がいをお持ちの方も、転職のチャンスは十分にあります。法制度の整備により企業の障がい者雇用意識は高まっており、豊富な経験と専門性を持つ50代の障がい者への需要は増加しています。
転職を成功させるには、転職理由を明確にし、謙虚な姿勢と柔軟な対応力をアピールすることが大切です。一人での活動に不安がある場合は、キャリア・アドバイザーに相談することも有効な手段です。
障がい者雇用に特化した転職エージェント「エージェント・サーナ」では、一人ひとりに合わせた最適な求人探しや企業との橋渡しをサポートいたします。50代で転職を考えている方はぜひご相談ください。