高卒の障がい者の求人、求人数の推移は増加傾向に
厚生労働省のデータによると、2020年3月に高校を卒業した生徒の就職状況は非常に好調です(2024年7月末時点)。高校新卒者の求人倍率は3.7倍、求人数は約46万5000人(前年より4.8%増)、就職内定率は63.0%(前年同期比で0.6ポイント上昇)となっており、高水準が続いています。
中小企業を中心に求人が拡大
少子化による人手不足が深刻化する中、中小企業を中心に高卒の採用が年々増加しています。製造業だけでなく、IT業界やサービス業など、業種を問わず高卒を採用する動きが広がっているのは注目すべき点です。
企業側も、高卒社員のキャリアアップを支援する制度を導入するなど、キャリアパスが多様化しており、高卒の就職を取り巻く環境は大きく変化しています。
高卒の障がい者が応募できる門戸は拡がっている
障害者雇用促進法の改正により、2024年4月から民間企業の法定雇用率が2.3%から2.5%へと引き上げられたことを受け、障害のある方が高卒で就職する機会はますます広がっています。高校を卒業する方は、ハローワークや学校を通じて9月から始まる求人に積極的に応募することができるでしょう。
中途採用においても、「大卒以上」「短大・専門卒以上」といった学歴制限がない求人は多く存在します。
「高卒以上」や「学歴不問」と記載されている求人の中には、「高校での学びや生活を通じて、専門的な知識や人間的な成長を遂げ、高い意欲を持った人材を求めている」という企業も多くあるのです。
高卒就職のメリットとデメリット、考慮すべき点
高卒での就職には、早期に働き始めることで得られるメリットと、将来的なキャリア形成や収入面において考慮すべきデメリットがあります。ここでは、それぞれのポイントについて具体的に解説します。
メリット①早期に仕事が覚えられる
高卒で早期に社会に出ることは、仕事を早く覚える大きなチャンスです。現場での実践的な学びが始まり、学校での学習よりも、実際の業務を通じて自分に合った技術や知識を素早く身につけることができます。
プロフェッショナルとして早期に経験を積むことで、キャリアの成長も加速します。
メリット②経済的自立の早期達成
高卒で就職することで、大学や専門学校に通うよりも早く収入を得ることができ、経済的に自立しやすくなります。学費や教育費の負担がないため、早く貯金ができ、金銭的にも余裕が生まれます。
これは、早期に安定した生活基盤を築く上で大きなメリットです。
メリット③内定を獲得しやすくなる
高卒者は、在学しているときに高校から就職活動のサポートを得られるため、内定をもらいやすくなります。厚生労働省のデータによると、2024年3月末に卒業した高校生の就職内定率は99.2%であることが分かります。
卒業する学生は、高校と相談しながら、安心して進路を決められるでしょう。また、ハローワークで障がい者求人に応募できるのは、内定を獲得しやすくなるポイントでもあります。
参照元:令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和6年3月末現在)
デメリット①応募の選択肢が限られる
少子化により、大学進学のハードルは下がりつつあります。大学は今や「社会人への準備期間」として見られ、企業も大卒者の採用を重視する傾向にあるのです。そのため、高卒者の就職機会は限られてきています。
応募資格として「大卒以上」「短大卒以上」とされる求人も多いため、高卒者には応募できない求人が増える可能性があるでしょう。後から学歴を補おうとすると大きな労力が必要です。特に、社会人になってから学位を取得するには、夜間大学や通信教育などを選ぶ必要があります。
時間と費用の負担が増えることもあるため、進路選択は慎重に行う必要があるでしょう。
デメリット②生涯年収の差
高卒で就職すると、早く収入を得ることができる一方で、スタート時の給与額は一般的に大卒者よりも低く設定されています。その結果、長期的に見ると生涯年収に差が出ることが少なくありません。
大卒者は専門的なスキルや知識を備えていることが評価され、給与面でも優遇されることが多いです。短期的な収入の増加だけにとらわれず、長期的なキャリアと収入の見通しを考慮することが重要です。
デメリット③キャリアを上げにくい
障がい者雇用においては、業務内容が限定されることで、新たなスキルを習得する機会が制限されてしまいます。結果的に、他の従業員と同様のキャリアパスを描くことが、困難になります。
解決策としてオススメなのが、どのような働き方をするか、上司に相談することです。持っているスキルや、抱えている障がいにより、能力を発揮できる作業が変わります。自分にとって、どのような環境と作業内容であればスムーズに仕事を進められるか、分析してみましょう。
デメリット④上司や同僚からの扱いにストレスを感じる
就職先の職場で、上司や同僚からの態度によっては、差別や偏見を感じるときがあるでしょう。意見を聞いてもらえなかったり、重要な判断から外されたりするケースもあります。障がいのある方の場合、学歴と障がいという二重のハードルに直面し、精神的な負担を感じてしまいます。
このような状況になったときは、すぐに上司や指導者に相談し、悩みを打ち明けてみてください。会社の配属先を変えてもらったり、自分の考えや行動を見直したりするきっかけになることでしょう。
高卒での就職に向けて知っておきたいこと
高卒で就職する際、どのようなスキルが求められるのか、また安定したキャリアを築くための方法や資格取得によるキャリアアップの可能性など、成功するために必要な要素を押さえておくことが重要です。以下では、これらの点について説明します。
コミュニケーション能力とプロ意識が求められる
高卒者向けの求人が多い業界としては、飲食業、一般事務、営業職などが挙げられます。これらの職種では、特にコミュニケーション能力やプロ意識が重視されます。
このような業界で活躍するためには、業務に必要なスキルだけでなく、人間関係の構築や顧客対応なども重要になります。
正社員として安定した立場を確保することが大切
高卒で就職する場合、正社員として働き始めることが、安定したキャリアを築くために非常に重要です。正社員として働くことで、経験を積みながらキャリアアップを目指すことができ、長期的に安定した雇用を維持することができます。
不安定な派遣社員や契約社員の立場では、将来的なキャリア形成に不利になることが多いため、早期に安定した職場を選ぶことが大切です。
資格取得でキャリアが広がる
ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士、中小企業診断士などの国家資格、あるいは、簿記3級、秘書検定、MOS(WordやExcelなどの実務スキルを証明する資格)などの資格を取得することで、給与が上がったり、キャリアの選択肢が広がることがあります。
高卒であっても、資格を取得してスキルを高めることで、企業から評価されやすくなり、就職活動を有利に進めることが可能です。資格を活かすことで、収入面でも大きな違いを生むことができるでしょう。
転職の際、高卒の障がい者は不利になるか
転職活動において、高卒の学歴はどう評価されるのでしょうか。結論から言うと、一概に不利ということはありません。現代では、学歴よりも経験やスキルを重視する企業が増えています。早くから社会に出て働いているという経験は、大卒者にはない強みになることもあります。
障がいや学歴はひとつの要素に過ぎない
「障がいがある」「高卒だ」という理由で、自分のキャリアをあきらめる必要はありません。企業が本当に重視しているのは、あなたの持つスキルや経験、そして仕事への意欲です。
障がいの有無や学歴は、その人の本当の実力を測る決定的な基準ではないのです。むしろ企業にとっては、一人ひとりの強みを活かせる場所で活躍してもらうことが、会社の成長につながります。
スキルや経験を自分の強みに
あなたがこれまでに積み重ねてきたスキルや経験は、次のキャリアへの大切な足がかりです。習得してきた能力を大いにアピールし、新しい仕事でどのように活かせるのかを伝えましょう。
転職を成功させるための大事なポイントは、以下の2つです。
- 自分の強みを見つめ直し、それを伸ばす
- その強みを採用企業にしっかりと伝える
特に面接では、「こんな時、このように課題を解決しました」といった具体的な経験を話すことで、あなたの実力を相手に印象づけることができます。
高卒が不利になる場面を見極める
一方で、大手企業や一部の職種では、学歴が採用の判断材料になることがあります。また、似たようなスキルを持つ応募者が競合した場合、学歴が影響することも考えられます。
ですが、心配はいりません。転職エージェントを味方につけることで、こうした課題を乗り越えられます。エージェントは企業の採用情報に詳しく、あなたの強みを活かせる企業を見つけるサポートをしてくれます。
まとめ
高卒者の就職は、早期に社会で経験を積むことで得られるメリットが多い一方で、求人の選択肢や生涯収入といった面でのデメリットもあります。障がいの有無にかかわらず、しっかりとした準備と選択を行えば、社会に出て成功することは十分に可能です。
自身のキャリアを長期的に考え、必要なスキルや資格を身につけながら、安定した職場を選ぶことが大切です。この記事を参考に、高卒での就職活動に向けた準備をしっかりと整え、次のステップへ踏み出してください。
エージェント・サーナでは、障がいを抱えている方が活躍できる職場を、積極的に紹介させていただいてます。安心して働ける職場を探されている方は、お気軽にご相談ください。