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全雇用者の約4割が非正規
仕事をするにあたって、長く安定して働くことのできる正社員として働きたいと考える人も多いでしょう。しかし、2020年1月に総務省統計局が公表した「労働力調査」によると、公表時点の雇用者5665万人(役員を除く)のうち、正規の職員・従業員は前年に比べ42万人増加し3516万人。非正規の職員・従業員は5万人減少し2149万人。その割合は62.1%:37.9%で、全雇用者の約4割が非正規です。
Agent Sanaの募集求人内容においても契約・嘱託、もしくはパート・アルバイトでの募集が一定割合あり、障がいの有無にかかわらず、正社員になることは容易でないであろうことが伺えます。
とはいえ、契約・嘱託での募集のうち「正社員登用あり」としている求人も多いです。
それではなぜ最初から正社員として採用しないのか? その主な理由としてあげられるのが、離職率の高さです。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターが2017年4月に公表した調査報告書によると、障がい者の就職先での定着率は、就職後3カ月時点で80.5%、就職後1年時点で61.5%。1年で4割もの人が離職しているのです。
雇用する企業側としては、正社員として採用する方には、障がいの有無にかかわらず長く勤めてもらい責任ある仕事を任せたいと期待しています。その中で、数カ月のうちに勤怠が不安定になり退職されるという事態は避けたいのが当然です。そこで、まずは契約社員として雇用し、勤怠状況やお互いのマッチング状況などを見て、正社員登用を検討するというわけです。
ただ注意したいのは、「正社員登用あり」だからといって、「必ず正社員になれる」という保証があるわけではありません。
障がい者転職で契約社員から正社員登用をめざすなら転職エージェントを活用 ~豊富な情報で、就職後のミスマッチを軽減~
応募先が「正社員登用あり」としているなら、面接時に給与や休暇などの待遇、障がいへの配慮とあわせて正社員登用の可能性や基準などについて確認しておくと良いでしょう。とはいえ、基本的な事柄の多くは募集要項に記載されているため、同じことを執拗に確認すると「待遇や条件ばかりにこだわっている」と思われそうで、なかなか聞けないという人が多いかもしれません。
そんな時に頼りになるのが、民間の転職エージェントです。就職や転職相談というとハローワークを思い出す人が多いかもしれませんが、民間の転職エージェントでは、企業が求めている人材の詳細や仕事内容についても企業に直接ヒアリングしているので、企業側の情報をより入手しやすいというメリットがあります。
たとえば、待遇面や仕事内容に加えて、障がい者の正社員登用の実績の有無や正社員登用の基準を、エージェントを通じて確認することもできるでしょう。事前にそうした情報を入手できれば、より効率的な転職活動に繋がります。
また、転職エージェントを通して企業が実際に採用した障がい者の採用事例について話を聞いたりすることで、必要としている条件を満たしている会社かどうかを見極めることにも役立ちます。とくに、障がい者のための転職エージェントなら障がい者採用についてより正確な情報を豊富に持っているため、入社後に「こんなはずではなかった」という、ミスマッチの軽減にもつながるでしょう。
契約期間は職場環境を精査できる時間 ~正社員登用をめざすには基本の積み重ねが大切~
企業側は「勤怠状況などを見て、正社員登用を検討する」と前述しましたが、契約期間中は、皆さんが企業を精査する期間でもあります。職場の雰囲気、人間関係はどうか、障がいへの配慮やサポート体制など、障がい者を受け入れる体制は整っているか、不十分なところは改善の可能性があるか、など。
仕事に関しても、何のサポートもなく不慣れな業務を任される、きちんと休憩がとれないなど、勤務を続けるうちに体調を悪化させるような要素はないか。逆に、この職場ならずっと働き続けたいと思えるか。そんなアレコレを、じっくり精査しましょう。
正社員をめざそうと決めたなら、まずは遅刻や欠勤をせずに、与えられた仕事に一生懸命に取り組むことが大切です。教えてもらったこと、言われたこと以外はやらない、任された仕事以外に興味を示さないといった「指示待ち」では、正社員への道は開きづらいでしょう。
また、障がいによってできないことや、苦手なことについては早めに周囲に知ってもらうことも大切です。障がい者採用に積極的な企業でも、現場には障がい者とあまり接したことがない人もいます。職場の人たちと良い関係を作っていくために、「おはようございます」「お疲れさま」といった挨拶、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を確実に行なうなど、積極的にコミュニケーションを図ることも大切です。そうした基本的なことを実践で積み重ねることが、安心して仕事を任せられる人材だと認めてもらえることに繋がり、正社員登用の可能性も大きくなると考えられます。