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障がい者が大阪で転職活動する際に有効なサービス、支援機関とは
転職活動を行うにあたり、疑問や悩みを抱えることもあるでしょう。その際、一人で考え行動することには、一定の限度があるかもしれません。条件に合う企業と出合い、希望の転職先に就職するには、活動のノウハウや転職に関する知識、求人の情報量など、ポイントとなる要素がいくつかあるためです。これらの要素をうまく活用し、より良い活動を行うための有効な手段の一つとして、専門のサービスや支援を利用することがあげられます。
活動中、幅広い知識やノウハウをもった方のアドバイスを受けられるのと、そうでないのとでは、結果も変わってくるでしょう。こうしたサービスや支援機関は、数に違いはあるものの全国各地に存在しており、もちろん首都圏に限らず活用できます。
不安な気持ちを解消しながら安心して活動し、より自分に合った企業選びができるよう、自身の活動エリアにある、転職サービスや支援機関について知っておきましょう。今回は関西地域、その中でも特に人口が多く、経済活動も活発な大阪エリアにスポットを当てます。
ハローワーク(公共職業安定所)
はじめに、転職活動を支援する機関の一つに、ハローワークがあります。全国に544カ所あるうち、大阪には全部で18カ所(ハローワーク大阪東、梅田、大阪西、大阪港労働、阿倍野、あいりん労働、淀川、布施、堺、岸和田、池田、泉大津、藤井寺、枚方、泉佐野、茨木、河内長野、門真)あります。では、ハローワークとはどんなところなのか、どのような支援を受けられるのか概要について触れていきます。
正式名称は公共職業安定所で、国が運営する行政機関です。厚生労働省から毎年、その利用状況が発表されており、平成30年度においては、新規の求職者申込件数が21万1271件、就職件数は10万2318件でした。紹介状況は年々増加しており、10年連続で増加しています。
受けられるサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。
主な内容は以下の通りです。
- 求人紹介
- 活動に関する相談
- 職業訓練等の相談
- 自己分析や書類作成のサポート
- 面接対策
- 紹介状の発行 など
ハローワークの相談窓口では、専門のスタッフが活動をサポートしてくださいます。また、直接ハローワークに行くことができない場合には、インターネットも有効です。2020年1月には、新たな機能も追加されているので、併せて確認すると良いでしょう。
詳しく知りたい方は以下記事もご参照ください→『こんなに便利?!障がい者転職におけるハローワーク利用のポイント』
その他の就労支援
転職活動を支援するサービスには、ハローワークの他にもさまざまな機関があります。その中に、「地域障害者職業センター」と「障害者就業・生活支援センター」があります。両者の概要や特徴、サービス内容をみていきます。それぞれの違いを理解し、自身の状況に合ったサポートを受けることが大切です。
【地域障害者職業センター】
地域障害者職業センターは、障がい者を対象に、専門的な職業リハビリテーションを提供している施設です。運営しているのは、独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構で、各都道府県に1カ所以上(大阪には2カ所)設置されています。このセンターの目的は以下の3つです。
- 一人ひとりに合わせた職業リハビリテーションの実施
- 事業主に対しての、雇用管理上の課題分析や専門的な助言支援
- 地域の関連機関への助言、連携、人材育成 など
特徴としては、関係機関との強い連携と専門性の高い支援があげられます。企業をはじめ、医療や福祉機関と連携しており、センターを利用する方、それぞれのニーズに合わせた支援を行っています。また、センターに在籍するカウンセラーには、厚生労働省が定める研修・試験を修了している障がい者職業カウンセラーに加え、相談支援専門員やジョブコーチなどもいるため、相談もしやすい環境が整っています。
同センターを利用できる対象者は、障がいのある方はもちろんのこと、企業への助言支援も行っているため、障がい者を雇用している事業主や企業の人事担当者も含まれます。その他、地域の関連機関として福祉、医療、教育などの機関で障がい者支援に携わる方も利用可能です。
では、障がい者に対する具体的なサポート内容をみてみましょう。
- 職業評価:就職に関する希望をヒアリングし、職業能力を分析、一人ひとりに合わせた支援やリハビリテーション計画を行います。
- 職業準備支援:就職に関する知識を習得するための講習を行います。
- 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業:ジョブコーチによる障がい特性をふまえた支援を行います。
- リワーク支援:うつ病や体調を崩してしまったなどを理由に休職されている利用者に対して、職業カウンセラーなどが雇用主や主治医と連携して、利用者の職場復帰をサポートします。
- 精神障がい者総合雇用支援:精神障がいのある方、及び精神障がいのある方を雇用しようとする又は雇用している事業主の方に対して、医療機関や家族などと連携をとっての継続的な支援を行います。
最後にセンターの利用方法についてですが、利用料は基本的に無料です。近くのセンターに問合せ、相談や見学、説明会へ参加して利用したい旨を伝えましょう。
【障害者就業・生活支援センター】
障害者就業・生活支援センターは、障がい者を対象に、「生活」と「仕事」の両方から一体的な支援をする機関です(2020年7月現在:大阪市内には7カ所)。「体調や生活が安定せず、思うように就職できない」そんな悩みを相談できます。これは障がい者の雇用促進等に関する法律に規定されている事業で、厚生労働省や都道府県から社会福祉法人やNPO法人に委託されています。このセンターの目的は、障がいのある人の自立と安定した職業生活の実現です。
実施している主な支援は以下の2種類で、健康管理やお金の管理など、生活基盤を支える生活支援を行っています。
- 日常生活の自己管理に関する支援:転職活動に関する悩みから、服薬管理ができないなどの生活に関する悩みまで相談できます。
- 衣食住を安定させる支援や制度の紹介:衣食住に関連する支援制度の紹介をはじめ、契約や手続きに関するアドバイスを行います。
利用できる対象者は、身体障がい、知的障がい、精神障がい、難病などの障がいがある方で、センターの近くに住んでいる、ないし仕事をしている、探している人です。
利用にあたっては、利用料・相談料は基本的に無料で、「障害者手帳」の有無は各センターへの確認が必要です。
転職エージェント
ハローワークをはじめ、いくつかの支援サービス・機関を紹介しましが、「転職すること」を目的に幅広い支援内容のもとサポートを行っているのが転職エージェントです。
一般的に転職エージェントの場合、大手企業の求人や比較的スキルの高い求人情報が集まる傾向にあり、また、非公開求人が多いのもポイントです。非公開求人は、他社との競合を避けることなどを目的に、一般的な求人サイトなどに情報を掲載していない求人案件なので、活用することで活動の幅が広がる可能性が大いにあります。
各支援サービス、機関の所在地や利用案内を確認しておく
これまで転職活動に関するさまざまな支援の概要やサービス内容について紹介してきました。それぞれの特徴や用途が分かったと思います。なお、現在はオンラインも増えてきましたが、各支援サービスを利用するには、相談や定期的な通所が必要になることもあるため、自身の活動エリアの近くに支援機関があるのかどうか、施設の所在地などを確認しておくことも必要です。ここでは、大阪エリアについて確認していきます。
ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークにおいては、各施設の管轄区域があるので、どの施設に該当するのかを確認しておくと良いでしょう。管轄区の一例を紹介します。
公共職業安定所 | 管轄区域 |
---|---|
大阪東 | 大阪市のうち中央区(大阪西公共職業安定所の管轄区域を除く。)、天王寺区、東成区、生野区、城東区、鶴見区 |
梅田 | 大阪市のうち北区、都島区、福島区、此花区、西淀川区、旭区 |
大阪西 | 大阪市中央区のうち安堂寺町、上本町西、東平、上汐、中寺、松屋町、瓦屋町、高津、南船場、島之内、道頓堀、千日前、難波千日前、難波、日本橋、東心斎橋、心斎橋筋、西心斎橋、宗右衛門町、谷町六丁目、谷町七丁目、谷町八丁目、谷町九丁目、西区、港区、大正区、浪速区 |
大阪港労働 | 大阪市のうち北区、都島区、福島区、此花区、中央区、西区、港区、大正区、天王寺区、浪速区、西淀川区、堺市、泉大津市、高石市 |
阿倍野 | 大阪市のうち住之江区、住吉区、西成区、阿倍野区、東住吉区、平野区 |
あいりん労働 | 大阪市のうち住之江区、住吉区、西成区、阿倍野区、東住吉区、平野区(※取扱内容によって管轄が異なります) |
淀川 | 大阪市のうち淀川区、東淀川区、吹田市 |
布施 | 東大阪市、八尾市 |
堺 | 堺市 |
この表からも分かる通り、大阪市においては、大阪市内でも区によって管轄する施設が異なるので注意が必要です。
詳しくは公式サイトをご参照ください→『大阪ハローワーク』
大阪障害者職業センター
大阪障害者職業センターについても、施設情報および利用に関する情報を紹介します。
施設は本所(大阪障害者職業センター)と支所(大阪障害者職業センター南大阪支所)の2カ所あり、それぞれ管轄エリアが異なります。
管轄エリア | |
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本所 | ハローワーク大阪東、梅田、大阪西、淀川、布施、池田、枚方、茨木、門真の管轄地域にお住いの方、並びに所在する事業主及び関係機関の方 |
南大阪支所 | ハローワーク阿倍野、堺、岸和田、泉大津、藤井寺、泉佐野、河内長野の管轄地域にお住いの方、並びに所在する事業主及び関係機関の方 |
利用にあたっては、相談が予約制となっているため、事前に連絡が必要です。なお、サービスの利用はすべて無料です。
詳しくは公式サイトをご参照ください→『大阪障害者職業センター』
大阪市障害者就業・生活支援センター
大阪市障害者就業・生活支援センターについても、確認しておきます。
センターは大阪市内に7カ所あります。
■淀川地域障がい者就業・生活支援センター(大阪市淀川区木川東3-10-11)
■北部地域障がい者就業・生活支援センター(大阪市城東区鴫野東3-2-26)
■西部地域障がい者就業・生活支援センター(大阪市港区波除5-8-9)
■南部地域障がい者就業・生活支援センター(大阪市平野区喜連西6-2-55)
■中部地域障がい者就業・生活支援センター(大阪市西成区北津守3-6-4)
■南西部地域障がい者就業・生活支援センター(大阪市住之江区泉1-1-110)
■東部地域障がい者就業・生活支援センター(大阪市天王寺区東上町4-17)
利用にあたっては、大阪市内在住で原則「障害者手帳」を取得している方が対象になります。利用するには、まずセンターへ電話かFAXにて連絡をします。その後、面談を実施し、センターへの登録を行います。なお、相談や登録は無料です。
詳しくは公式サイトをご参照ください→『大阪市障がい者就業・生活支援センター』
まとめ
ハローワークや就労支援機関、転職エージェントなど、転職活動をサポートしてくれるサポートについて触れてきました。それぞれに、サービスの特徴があり、自身に合った支援を受けたいものです。では、どのような状況、志向の方がどのサービスを利用するのが良いのでしょうか。
ハローワークのポイントの一つは、豊富な求人数をはじめとした情報量の多さといえるかもしれません。全国に544カ所の拠点があることもあり、窓口での相談や情報収集など、活動の出だしとして活用するのも有効です。
転職エージェントにおいては、無料で求人情報を掲載できるハローワークと比べ、情報量は減る一方で、大手企業やスキルの高い求人情報が集まる傾向にあります。キャリアアドバイザーなど専門的なスタッフが活動をサポートしてくれるので、活動に不安がある人や専門的なアドバイスをもらいながら進めたい人に有効的なサービスでしょう。
その他の、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターでは、転職活動に加え、障がいや健康面を考慮した生活支援や支援制度の紹介、職業リハビリテーションなど、より多面的な支援を必要とする方にとって大いに助けとなるかもしません。
今回は大阪エリアを中心に紹介しましたが、東京や大阪、関東や関西など、自身が希望する勤務地や活動する地域となる特定のエリアの特徴を理解できると、転職活動の幅も広がるでしょう。
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