専門性の高い職種でないかぎり、未経験の仕事でも転職は可能
転職を大きく分類すると、前職と同じ職種を選ぶ場合と、まったく異なる職種に挑戦するという2つの選択肢が考えられます。同じ職種であれば、どのような業務をすればいいのか、ある程度は把握できます。そのため新しい転職先を探す際に悩むことは少ないのではないでしょうか。つまり、転職の軸を決めやすく、その転職の軸に沿って企業探しをしていけばいいわけです。例えば、給与など待遇面を重視する人は給与や賞与の金額、ワークライフバランスを重視したい人は福利厚生の充実度や残業時間の少なさといった点にウエイトを置くなど、企業選びをする際に自分なりの基準を設けて、それに沿って転職活動をしていきます。
しかし、未経験の職種に就きたい場合は活動方法も異なります。転職を希望する職種によっては未経験者が従事できないケースもあるからです。その筆頭に上げられるのが、いわゆる「士業」と呼ばれる職種。弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、一級建築士など専門性が高い職種です。こうした職種は国家試験に合格をした有資格者でなければ従事できません。
もちろん、国家資格を有する専門性の高い職種は少数派で、多くの場合は資格を取得していなくても転職することは可能です。一般事務の仕事で資格取得が求められることは少なく、未経験者でも採用するケースが数多くあります。特に、募集欄に「未経験者歓迎」や「未経験者可」と明記されている場合は経験がなくても問題ありません。
未経験者を採用するケースでは、専門的な知識やスキルよりも求職者の仕事に対する意欲や将来性、職場で円滑な人間関係が築けるといった人間性やコミュニケーション力を重視する傾向にあります。そうした場合は、自らの仕事に対する意欲、これまでどんなことをやり遂げてきたのかといったビジネスパーソンとしての経験を面接時などにアピールするようにしたいところです。
未経験の仕事に転職するのは難しいと考えている人は、このように、まずは自分がめざす職種の専門性などを調べた上で転職活動をスタートしましょう。よほどの高い専門性がない限り転職は可能ですから、ポジティブな思考を大切にしながら臨みたいところです。
資格取得やスキルアップを図って転職を有利に進めよう
もちろん、未経験の仕事を探す場合、国家資格に限らず、何かしらの資格を有していた方が有利にはたらく職種もたくさんあります。例えば、会計や財務の仕事ならば日商簿記の3級や2級の資格、商社やメーカーで貿易関係の事務職ならば貿易実務検定、システムエンジニア(SE)なら基本情報技術者や情報処理安全確保支援士などがあります。
こうした資格の中には通信講座や独学で取得できるものもあるので、転職活動前に資格取得のための勉強を始めるのもいいでしょう。そこでまずは、自分が就きたい職種で、自己アピールにつながる資格があるのか否かを調べましょう。その上で、その難易度や取得に必要な期間・日数などを確認することをお勧めします。
さらに、特定の職種に有利にはたらく資格取得に限らず、自分のスキルアップを図るための資格取得も有意義なことです。例えば、グローバル化が進んだ現代社会では企業活動のグローバル化も加速し、海外拠点で働く機会や外国人社員とコミュニケーションをする機会も増えています。そんな状況下では、職種に限らず英語はコミュニケーション手段としてますます重要になっています。そこでTOEICのスコアを少しでも上げるなど、自己啓発につながる資格の取得が大切といえるでしょう。
事前に新しい仕事の業務内容と障がい内容の関連性を調べよう
未経験の仕事を探す場合、大きな課題として挙げられるのが、業務内容と障がい内容との関連性がわかりづらいという点です。そこでまず、希望する職種はどのような環境で業務を行い、どんな作業が発生するのかを具体的に調べることが必要です。転職サイトで調べたり、家族や知人にヒアリングしたりするなど、具体的な業務内容や職場環境を事前にリサーチしてみましょう。
その上で、前職との共通点を探して、「できること」と「できないこと」を整理し、実際に仕事が務まるかどうかを判断したいところです。しかし、知人などにヒアリングするだけでは希望する職種の仕事内容を把握できないケースもあるはずです。そんな時には、転職エージェントを活用するのがいいでしょう。転職エージェントでは、さまざまな職種に精通したキャリアアドバイザーが在籍しており、企業の採用担当者に対して求職者に代わって質問してもらえるサービスもあるので大いに活用したいところです。
未経験の仕事に挑戦する場合は、こうした事前の準備をしっかり行うことが大切です。まずは、さまざまなメディアや多くの人から情報を集めて、実際に就業が可能か否か、資格取得が必要か否かを探ること。もし障がい内容によって難しい業務があれば、どんな配慮があれば業務遂行が可能になるかを検討することも忘れないようにしましょう。そうした事前の準備を行った上で、面接では仕事に対する意欲はもちろん、できることを具体的に採用担当者に伝え、意思疎通を図ることが大切です。これらのことを心がけることで、「未経験」という要素が転職のハードルとなることは少なくなるでしょう。