目次
障がい者雇用で働く20代の方のなかには、「現在の仕事が合わない」「このまま今の仕事を続けられるのか」と不安を持つ人もいるかと思います。20代は、仕事での経験・スキルを積んで、将来的なキャリアの方向性を決める重要な時期といえます。
企業の障がい者雇用には、これまでの経験やスキルを活かした仕事や、今後の成長を期待した未経験での職種などのさまざまな選択肢があるため、自分らしく働ける職場と出会うための一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
本記事では、20代の障がいを持つ方における転職でのよくある悩みや解決のヒント、事前に行っておく準備、転職の成功事例について紹介します。
20代の障がい者の転職について。企業や市場の動向とは
近年、民間企業による障害者雇用数は増加傾向にあります。
厚生労働省の『令和6年障害者雇用状況の集計結果』によると、2024年における障がい者の雇用者数は67万7,461.5人となり、21年連続で過去最高を記録しています。
厚生労働省『令和6年障害者雇用状況の集計結果』を基に作成
また、厚生労働省が発表した『令和5年雇用動向調査結果』によると、一般労働者の転職入職率は男女ともに19歳以下がピークとなっており、年齢とともに減少する傾向が見られています。
画像引用元:厚生労働省『令和5年雇用動向調査結果の概況』を基に作成
このように転職市場では年齢が若いほうが入職率が高く、転職が活発に行われていることが分かります。
障がいを持つ方のなかには、職歴が浅いことや障がいを理由に転職に不安を持つ方もいるかもしれません。しかし、さまざまな企業で障害者雇用が拡大していることも事実です。
「現職が合わない」と感じている方や「未経験の職種が気になる」と考えている方は、20代の転職で新たなキャリアに挑戦してみてはいかがでしょうか。
出典:厚生労働省『令和6年障害者雇用状況の集計結果』『令和5年雇用動向調査結果の概況』
障がいを持つ20代の方が抱えるよくある悩みと解決のヒント
20代での転職活動では、さまざまな悩みに直面することがあります。ここからは、障がいを持つ方が抱えやすい悩みや解決のヒントについて紹介します。
就職に役立つスキルがない
「自分にはこれといったスキルがない」という不安を抱える20代の求職者は決して少なくありません。しかし、これまでのアルバイト経験や学生時代の活動、趣味で培った知識、さらには日常生活で身につけた対人関係のスキルなども重要な能力といえます。
例えば、困難な状況を乗り越えた体験から得られる忍耐力や、障がいと向き合う中で磨かれた柔軟性なども、企業にとって価値のあるスキルとなります。まずは自分の経験を振り返り、客観的な分析から始めることが大切です。
自分に合った職場が見つからない
障がいの種類や程度によって、適性とされる業務や働きやすい職場環境は異なることから「理想的な企業を見つけることが難しい」という悩みがあります。まずは自分にとって絶対に必要な条件と妥協できる部分を明確に整理することが大切です。
また、障がい者雇用の実績や職場見学の機会があるか、実際に働く社員の声を聞ける場があるかなど、具体的な情報収集を行って企業の本当の姿を理解する努力が求められます。
モチベーションの維持が難しい
「今の仕事にやりがいを感じられない」「障がいがあっても本当に活躍できるのか不安」など、仕事そのものに対するモチベーションの維持が難しくなることがあります。
これらの悩みは、「自分の能力を活かせていない」「成長機会が少ない」「周囲からの理解が不足している」などの問題が根本にあると考えられます。
前向きに転職活動を進めるためには、自分の価値観や将来の目標を明確にして、どのような職種や社風がマッチするか積極的に探求することが重要です。
障がいを持つ20代の方が転職活動前にやっておくこと
障がいの有無にかかわらず、20代の転職では実績よりもポテンシャルが重視されます。転職活動前に自己分析や条件の整理を行っておくことで、転職活動をスムーズに進められます。
➀自己分析を通じて強みを見つける
転職を成功させる第一歩は、自分自身を深く理解することから始まります。単に「得意なこと」を考えるだけでなく、これまでの学校生活やアルバイト、日常生活での経験を振り返り、他者から評価されたことや困難を乗り越えた体験を整理してみましょう。
障がいと向き合う過程で培った忍耐力や問題解決能力、細やかな観察力なども立派な強みとなります。また、家族・友人・支援者などの第三者の意見を聞くことで、自分では気づかない潜在的な能力を発見できることもあります。キャリアカウンセリングや適性検査などを活用し、客観的な視点から自分の特性を把握することがポイントです。
②「自分の軸」を決めて優先する条件を選ぶ
転職先に求める条件は人それぞれですが、すべての希望を満たす企業を見つけることは簡単ではありません。自分にとってもっとも重要な要素を明確にして優先順位をつけることで、マッチ度の高い企業を見つけやすくなります。
▼転職先を選ぶ際に確認すること
- 給与水準
- 業務内容
- 職場の勤務形態
- 通勤の利便性
- 障がい者への配慮やサポート など
例えば「障がいへの理解が深い職場環境」を最優先とするのか、「やりがいのある仕事内容」を重視するのか、自分なりの基準を設定しましょう。この軸が明確になることで、求人を見る際の判断基準が定まり、迷いのない転職活動が可能になります。また、条件に優先順位をつけることで、妥協点も見えやすくなります。
③自分の障がいについてオープンにするかを決める
自身の障がいを企業に伝えるかどうかは、法律による決まりはありません。
企業に対してオープンまたはクローズにするかによって転職活動の方向性が変わるため、家族や友人、キャリアアドバイザーなどに相談して、どちらの選択が自分にとって最適かを慎重に検討することが重要です。
▼オープンにする場合
- 企業による就労上の支援を受けやすい
- 理解ある職場環境で働きやすい
- 求人の選択肢や雇用枠が限られることがある
▼クローズにする場合
- 幅広い職種の求人に応募できる
- 企業による支援や周囲の理解が十分でない可能性がある
④障がい者雇用枠での応募を検討する
障がい者雇用は、企業に対して法律で定められている特別な雇用枠です。
「障がいをオープンにしてありのままの姿で働きたい」「障がい者に配慮のある職場を選びたい」という方は、障がい者雇用枠に応募することも一つの方法です。
▼障がい者雇用枠に応募するメリット
- 職場でのきめ細かな配慮が期待できる
- 障がい者向けのスキル研修やキャリア支援が整備されている
- 自身の身体的な状況に応じた働き方や業務を選択しやすい
また、企業の障がい者雇用に対する実績や現在働いている人の定着率、具体的な配慮内容などを事前に調べておくことも欠かせません。
障がいを持つ20代の方が転職活動するときの注意点
20代の転職活動では、年齢の違いや社会人経験などによってさまざまな選択肢があります。これまでの働き方や得られた経験を踏まえて戦略的に活動することが成功の鍵となります。
企業に求められるものを理解する
企業に求められるものを理解したうえで、自分の強みを積極的にアピールすることが重要です。20代と一口に言っても、年齢や経験によって企業に認められる能力は異なります。
20代前半 | 20代後半 | |
企業に期待されること | 将来性や人間性 | 社会人経験を生かした即戦力 |
アピールポイント | 基本的なビジネスマナーや人柄、やる気など | これまでの業務経験で得たスキルや実績など |
20代前半は、実践的なスキルよりもポテンシャルが重視されます。障がいを乗り越えてきた経験や周囲と協調しながら成長する意欲などをアピールすることが重要です。また、入社後の目標や将来のビジョンを明確に示すことで、長期的な戦力として期待してもらえる可能性があります。
20代後半になると、即戦力としての期待が高まります。これまでの業務経験で培った専門スキル・実績・問題解決能力などを、具体的な数字や成果とともにアピールすることが重要です。障がいがあるなかでも成果を上げてきた経験は、企業にとって貴重な人材であることの証明となります。
未経験の業種を視野に入れる
これまでの職歴にとらわれることなく、新たな業界や職種にチャレンジすることも選択肢の一つです。未経験の分野であっても、これまでに培った対人スキルや問題解決スキル、継続力などをほかの仕事に活かせる可能性があります。
また、IT業界や福祉分野など、障がい者雇用に積極的な業界では、未経験者向けの研修制度が充実している企業も多くあります。新しい分野への挑戦は不安も伴いますが、20代という若さを活かせる絶好の機会とも捉えられます。
二次障がいが起きない職場環境を選ぶ
二次障がいとは、障がいが原因となって新たに生じる心身の不調を指します。例えば、ストレスによる精神的な不調や、仕事や職場環境による身体機能の影響がなどが該当します。
長く安定して働き続けるためには、自身が持つ障がいの特性に適した職場環境を選択することが何よりも重要です。
▼障がい者に配慮された働きやすい職場環境の例
- 身体的な障がいに配慮した物理的環境の整備
- 障がいの内容・程度に応じた配属や勤務形態
- 災害や緊急時のフォロワー体制の整備
- 人事担当者や管理者との定期面談の実施 など
転職活動を行う際は、職場見学や配属予定部署の責任者との面談を依頼して、企業側の職場環境に関する配慮を確認しておくとよいでしょう。
転職に不安を感じたらキャリアアドバイザーに相談を
ひとりで転職活動を進めることに不安を感じる方や、自分に合った会社がなかなか見つからないと悩む方は、キャリアアドバイザーのサポートを受けることも一つの方法です。
障がい者のための転職エージェントの『エージェント・サーナ』は、30年以上におよぶ長年の実績から得たノウハウを活かして転職活動を支援しています。
キャリアアドバイザーが希望条件や個別の悩みをしっかりヒアリングして、適性を踏まえた求人紹介から面接対策、企業との条件交渉まで親身にサポートします。一般の求人では出会えない案件も多数存在しているため、ぜひご活用ください。
エージェント・サーナを活用して20代の転職に成功した事例
ここからは、障がい者に特化した転職エージェントの『エージェント・サーナ』を活用して、転職に成功した20代の方の事例を紹介します。
SEの経験を活かして十分な配慮がある職場へ転職
視覚障がいを持つ29歳の男性は、人材派遣会社に所属してSEとして働いている経験を活かして、同じ職種でも障がい者に十分に配慮された職場への転職を実現しました。
▼転職理由
視覚障がいによる業務への負担が増加していたほか、お客様の職場に常駐しながら働く勤務形態の特性から障がいに対する配慮をお願いしづらい問題があり、自身の経験を活かせるSE職での転職を考えるようになりました。
▼転職活動の状況
エージェント・サーナを活用して応募書類の作成や面接対策のアドバイスなどを受けたことで選考をスムーズに進められました。また、できる・できないことを明確に伝えることにより、必要な配慮をしていただける会社から内定をもらうことができました。
▼転職後の感想
前職では携われなかったシステム開発の上流工程を担当でき、やりがいを感じています。また、視覚障がいに対する支援機器も用意していただき、円滑に業務を遂行できる職場環境になったことで働きやすさの向上につながっています。
結果がでない時もありましたが、諦めずに活動していい職場に出合えました
就労移行支援事業所から未経験の事務職へ転職
呼吸器障がいを持つ27歳の女性は、就労移行支援事業所で就職の準備を始め、身体への負担が少ない事務職への転職を実現しました。
▼転職理由
リハビリを行いながら就労移行支援事業所に通うなかでエージェント・サーナを紹介され、希望していた事務職での転職活動を開始しました。
▼転職活動の状況
事務職という職種を優先して、通勤の負担が少ない会社を探していました。初めての就職で不安を感じていましたが、障がいの伝え方や面接での対応などについて具体的なアドバイスをもらったことでポジティブに選考に臨むことができました。その結果、証券会社の事務職で内定をもらうことができました。
▼転職後の感想
通勤の負担が少ないだけでなく「残業がない」「福利厚生が充実している」など、長く安定して働ける会社に就職できたことに満足しています。
初めての就職で不安でしたが、懇切丁寧な面接対策で自信がつきました
まとめ
20代の転職では、ポテンシャルやこれまでの仕事での経験などが評価されます。障がいがあることをネガティブに捉えず、人間性や柔軟性、これまで培ったスキルなどを強みとしてアピールすることが大切です。
転職活動が思うように進まない方や、初めての就職で「何から始めてよいか分からない」という方は、転職エージェントを活用することも一つの方法です。『エージェント・サーナ』は、障がいを持つ方の転職を30年間にわたって支援してきた実績があります。キャリアアドバイザーが一人ひとりの能力や適性に合わせた求人の紹介、面接対策、入社後のフォロワーまで一貫したサポートを行います。