目次
大阪の障がい者雇用状況をデータで見る
近年、障がい者の活躍の場は広がりをみせており、厚生労働省が発表している「障害者雇用状況の集計結果」では、年々、雇用障がい者数や実雇用率が増加を続けていることがわかります。2019年6月1日時点での雇用障がい者数は、56万608.5人で前年から2万5839.0人増加。実雇用率においても2.11%で、対前年比0.06ポイントの上昇がみられました。
障がい者雇用への注目度が増し、こうした数字に関心をもつ方も多いかもしれませんが、各都道府県のそれぞれの雇用状況まで確認する機会は少ないのではないでしょうか。
全国値では2.11%だった実雇用率をとってみても、地域ごとにみると、最も雇用率の高い奈良県は2.79%、最も低い東京都は2.00%で、その差は0.79ポイントまで開きがありました。
ここでは、関西地域の中心地でもある大阪府に注目して、障がい者の雇用状況についてのデータを探っていきましょう。
雇用されている障がい者数/実雇用率など
大阪労働局が発表している「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」から、まずは、大阪府の基本的な障がい者雇用状況をみていきます。
- 民間企業(大阪府に本社があり、45.5人以上規模の企業:法定雇用率2.2%)に雇用されている障がい者数:5万192.0人(過去最高を更新) ※前年より4.9%にあたる2374.5人増え、16年連続で増加
- 民間企業における実雇用率:2.08% ※前年比0.07ポイント増
- 法定雇用率達成企業の割合:43.1%(3561企業/8261企業) ※前年比2.1ポイント上昇
これらの数を全国的に比較してみるとどうでしょうか。実雇用率においては、最も低かったのが東京で2%。次いで愛知が2.02%でした。人口や株式会社数が最も多い東京に対して、大阪は東京同様に人口・企業数が多い中で、0.08ポイント上回る結果になりました。
- 東京(2%)
- 愛知(2.02%)
- 山梨(2.03%)
- 香川(2.03%)
- 栃木(2.07%)
- 富山、大阪(2.08%)
法定雇用率達成企業数では、大阪の3561企業は、東京の6788企業に次ぐ全国2番目の数字でした。
障がいの種類別/企業規模別/産業別など
では、障がいの内容や企業規模別ごとに、より細かくみてみましょう。
- 障がいの種類別の雇用者数
身体障がい者:3万3583.0人(対前年比1.7%増)
知的障がい者:1万175.5人(対前年比7.6%増)
精神障がい者:6433.5人(対前年比20.0%増) - 企業規模別の雇用障がい者数/実雇用率
企業規模 雇用障がい者数 実雇用率 45.5人~100人未満規模 4138.5人(前年3921.5人) 40.7%(前年40.6%) 100~300人未満 8701.5人(前年8305.0人) 45.0%(前年42.5%) 300~500人未満 4153.5人(前年3845.5人) 40.8%(前年34.8%) 500~1000人未満 5916.0人(前年5434.5人) 44.0%(前年38.4%) 1000人以上 2万7282.5人
(前年2万6311.0人)56.4%(前年47.5%) - 産業別の雇用障がい者数/実雇用率
産業 雇用障がい者数 実雇用率 農・林・漁業 4.0人 4.04% 鉱業・採石業・砂利採取業 4.0人 6.15% 建設業 2269.0人 2.04% 製造業 1万4637.5人 2.00% 電気・ガス・熱供給・水道業 824.5人 2.43% 情報通信業 2309.0人 2.01% 運輸・郵便業 4216.0人 2.25% 卸売・小売業 7283.5人 1.75% 金融・保険業 2987.0人 2.19% 不動産・物品賃貸業 603.5人 1.69% 学術研究・専門・技術サービス業 1061.0人 1.66% 宿泊・飲食・サービス業 1788.5人 2.00% 生活関連サービス・娯楽業 827.0人 1.95% 教育・学習支援業 743.5人 1.79% 医療・福祉 6406.0人 3.01% 複合サービス事業 240.0人 2.33% サービス業 3988.0人 2.13%
特例子会社の状況
では、障がい者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をして設立する子会社である特例子会社の状況はどうでしょうか。
全国値をみると、特例子会社の認定を受けている企業は、517社(前年比31社増)で雇用障がい者の数は3万6774.5人(身体障がい者:1万1939.5人 知的障がい者:1万8885.5人 精神障がい者:5949.5人)でした。
そのうち大阪府内に親会社がある特例子会社は、56社(前年比2社増)で雇用障がい者数は3835.0人(身体障がい者:1557.5人 知的障がい者:1513.0人 精神障がい者:764.5人)となりました。
障がい者雇用における大阪府の具体的な取り組み、事例に関して
これまで、大阪府における障がい者の雇用状況について、現状を細かな数字からみてきました。民間企業における実雇用率や法定雇用率達成企業の割合など、あらゆる項目において着実に雇用状況が年々向上していることが分かったと思います。
ここからは、障がい者の雇用状況を改善するための具体的な取り組みについてみてみます。大阪府では、働きたいと願う障がい者が、適性や個性を活かして仕事に就き、働き続けることができる「障がい者雇用日本一・大阪」の実現をめざしており、その目標に向けてさまざまな取組みを実施しています。専門家の派遣や人材情報の提供など個々の事業主に応じて、きめ細かなサポートを行う「大阪府障がい者雇用促進センター」の開設もその一例です。
ここでは、2010年に施行された「ハートフル条例」についてふれていきます。
ハートフル条例とは
ハートフル条例とは、2010年4月1日に施行された条例で正式には、「大阪府障害者等の雇用の促進等と就労の支援に関する条例」です。この条例では、府が行う障がい者の雇用、福祉、教育に関する基本的な施策を定めるとともに、府の調達契約や補助金交付の相手方など、府と関係のある事業主で、雇用率未達成の場合には「雇入れ計画」を提出させるなど、一定期間内に計画的に達成してもらうような誘導や支援を行っています。改善が見られない際には、該当事業主の公表をするなど雇用率達成に向けたルールを設けています。なお、2020年9月に、ハートフル条例の改正条例が施行されます。この改正により、法定雇用率未達成の特定中小事業主(府内にのみ事務所・事業所を有する常用労働者45.5人以上 ※100人以下の事業主)が条例の対象となりました。
詳しくはこちら「大阪府 障がい者雇用に関するホームページ」
ハートフル企業顕彰制度とは
大阪府の障がい者雇用促進の取り組みの一つに、「大阪府障がい者雇用貢献企業(ハートフル企業)顕彰制度」があります。このハートフル企業顕彰制度は、障がい者雇用にかかわる企業のさまざまな活動を評価・表彰し、その取り組みや活動内容を広くPRすることを目的とした事業です。令和元年度においては、「ハートフル企業大賞」を受賞した株式会社ニッセイ・ニュークリエーションをはじめ、「ハートフル企業チャレンジ応援賞」「ハートフル企業教育貢献賞」などに計5社が受賞されました。評価された取り組みは、障がい種別にかかわらない雇用の実践や、ハード・ソフトの両面から障がい特性に配慮した職場環境の整備、雇用管理の実施、産業医などの配置、また、障がいのある社員に対するキャリアアップの積極的な推進などです。
詳しくはこちら「大阪府ハートフル企業顕彰制度」
大阪府の障がい者求人情報
「障がい者雇用日本一・大阪」の実現をめざし、障がい者雇用促進センターの開設や、条例・制度の施行、支援事業の展開、障がい者企業面接会の実施など、さまざまな取り組みを行っている大阪府。これらの取り組みの成果が、年々、過去最高を更新している障がい者雇用状況の数字にも表れているといえるかもしれません。
こうした現状の中で、大阪で募集を行っている求人にはどのようなものがあるのか、その一部をご紹介します。(※求人情報は2020年8月時点のもの)
ハウスメーカーでの一般事務・営業事務
- 仕事内容:営業、設計、施工の各部門での伝票処理、資料作成など。総務・経理での経費支払い業務、総務関連 業務、労務管理など。
- 給与:月給17万4500円~24万2000円
- 障がいへの配慮:転勤なし、筆談対応可能、障がい者用トイレあり、就業時間配慮可能、通院配慮可能、バリアフリーオフィス
- 勤務地:大阪市北区
住生活関連企業にて外勤の生産事務業務
- 仕事内容:役所等への書類申請、現場立会い、書類作成及び受け渡しなど。
- 給与:月給17万円~19万3000円
- 障がいへの配慮:転勤なし、障がい者用トイレあり、就業時間配慮可能、通院配慮可能、バリアフリーオフィス
- 勤務地:大阪府豊中市
税理士法人での事務に関するサポート業務
- 仕事内容:各種資料の作成・管理・データ入力(PCおよび会計ソフトへの入力)など。
- 給与:月給18万6000円~23万6000円
- 障がいへの配慮:転勤なし、電話対応なし、通院配慮可能
- 勤務地:神戸市中央区
※大阪の障がい者求人一覧はこちら