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転職活動コラム

「特例子会社」完全ガイド!制度の概要や障がい者雇用におけるメリット、利用実態

2020.06.30
障がい者業界のコト、転職先業界のコト

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特例子会社とは

2019年6月1日時点での民間企業における障がい者雇用数は56万608.5人(対前年4.8%[2万5839.0人]増加)、実雇用率は2.11%(対前年比0.06ポイント上昇)で雇用障がい者数、実雇用率ともに過去最高を更新(厚生労働省「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」参照)しました。雇用機会の拡大がみられ、障がい者雇用に対しての社会的な関心が高まる中、「特例子会社」という言葉を聞く場面も増えているのではないでしょうか。ここでは、多くの障がい者が活躍している「特例子会社」について、その概要や働き方について詳しくみていきます。

特例子会社とは、障がい者の雇用促進、そして就労の安定を目的として設立された会社です。特徴は、事業主が障がいに対して特別に配慮している点です。バリアフリーや障がいに配慮した各種機器の導入をはじめとした設備面の充実や、障がい内容を考慮した業務の切り出しなど、一般的な企業と比べ、それぞれの障がいや特性に応じたサポート環境が整っている場合が多く、障がい者が働きやすい環境を整備しています。

特例子会社として認定を受けるには要件があります。

  • 親会社が特例子会社の意思決定機関(株主総会など)を支配していること
  • 親会社との人的関係が緊密であること(具体的には親会社から役員派遣など)
  • 雇用される障がい者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること。また、雇用される障がい者に占める重度身体障がい者、知的障がい者および精神障がい者の割合が30%以上であること
  • 障がい者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有していること
  • 障がい者の雇用の促進および安定が達成されると認められること

以上の要件を満たすことで厚生労働大臣の認定を受け、特例子会社として認められます。特例子会社は、その子会社で雇用される人を親会社で雇用されているものとみなし、法定雇用率に算定できます。このことも、特例子会社の大きな特徴の一つといえるでしょう。

障がいのない人が多く在籍する親会社にて、障がいのある人の雇用を進めようとすると、設備や社内規定、業務内容などの整備や管理、投資を必要とする場合があります。その際、特例子会社を設立すると、それらをスムーズに進められ、障がい者の雇用がしやすくなる傾向にあります。

障がい者雇用における「特例子会社」のメリット

ここまで、特例子会社の概要について触れてきました。さまざまな取り組みから障がい者の雇用促進と就労安定が図られていることがわかったと思います。それでは、特例子会社について、設立する企業側のメリットと、そこに就職する障がい者側のメリットについて探っていきます。

障がい者からみたメリット

特例子会社は、認定要件の一つに「障がい者の雇用の促進および安定が達成されると認められること」とあるように、障がい者にとって働きやすい環境の整備に努めている会社です。そのため、障がいに配慮された職場環境の中で、一人ひとりの能力を発揮する機会が確保されていることは大きなメリットです。

では、具体的にはどのようなメリットがあるのかみてみましょう。

  • 労働時間を、障がいに応じて柔軟に対応してもらえるところが多いようです。例えば、短時間勤務やフレックスタイム制度、半休制度、在宅勤務制度などをはじめ、定期的な通院ができるような通院休暇制度などを設けている会社があります。
  • 業務や体調のことなど必要に応じてサポートしてもらえる支援体制が整っている場合が多い傾向にあります。例えば、業務支援・指導スタッフの設置や定期的な面談の実施、外部の支援機関との協力体制の構築などを行っているようです。
  • 特例子会社の設立によって、雇用機会の拡大につながります。親会社やグループ会社と同じ事業をする必要がないため、特例子会社ならではの事業等を展開し、職種や職域を広げることができます。積極的に障がい者採用に取り組む企業が増えることで雇用率雇向上が期待されます。

企業からみたメリット

事業主にとっては、以下のようなメリットが見込まれます。

  • 障がいの特性に配慮した業務の確保や職場環境の整備が容易となることで、障がい者の能力を十分に引き出すことができます。
  • 職場定着率が高まり、生産性の向上が期待できます。一般的な企業で働く障がい者で、早期に退職してしまう理由には、職場内での孤立ややりがいの喪失に一因があるようです。その点、特例子会社では、障がいのある方が職場に多いため孤独を感じにくく、また、業務目標を設定しやすいため、モチベーションを高く保ちやすい環境にあり、職場定着率が向上する傾向にあります。長く活躍する社員が増えると、一人ひとりのスキル向上や業務の幅が広がることにつながり、会社全体の生産性向上が期待されます。
  • 障がい者の受け入れに当たっての設備投資を集中化できます。障がい者を1カ所で雇用することで、業務や管理、資源配分を一元集中できるため、設備改修などもまとめることができ、コストの抑制が可能になります。
  • 親会社と異なる労働条件の設定が可能となり、弾力的な雇用管理が可能となります。障がい者を多く雇用する場合、さまざまな特性に応じた雇用条件や配慮、雇用管理を行いたいと思っても、親会社の雇用システムでは、そのまま活用することが難しい場合があります。その際、親会社とは別で設立している特例子会社なら、雇用管理の仕組みを柔軟に設計することが可能です。同様に、人事制度も障がいの特性などを前提とした制度を定めることで適正な評価を行うことができます。

特例子会社の実態に迫る~関連データあれこれ~

事業主にとっても、就労する側にとってもメリットのある特例子会社。事業主にとっては、職場環境を整えやすく、多くの障がいのある方に長く働いてもらえることで生産性の向上も期待できます。また就労する人にとっては、障がい者の雇用機会が拡大される上、障がいに合った働き方がしやすくなります。

そんな特例子会社の実態について探っていきましょう。

設立数・障がい者雇用数の推移は

厚生労働が発表している「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」によると2019年6月1日時点での特例子会社の状況は以下の通りです。

  • 特例子会社の認定を受けている企業数:517社(前年より31社増)
  • 雇用されている障がい者の数:3万6774.5人(前年3万2518人)
  • 雇用者のうち、身体障がい者は1万1939.5人
  • 雇用者のうち、知的障がい者は1万8885.5人
  • 雇用者のうち、精神障がい者は5949.5人

業種や会社規模の傾向は

2018年7月に障害者雇用企業支援協会(SACEC)が発表している「特例子会社に対する障害者雇用状況調査(※)」から、業種や会社規模の状況についてみてみます。

  • 親会社の事業内容
    「製造業」(回答のあった185社中64社)が最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」(同41社)、「卸売行・小売業」(同22社)
  • 特例子会社の従業員規模(臨時・パート、派遣労働者は除く)
    最も多かったのが「10~49人」(回答のあった190社中81社)、次いで、「55~99人」(同55社)、「100~149人」(同21社)

(※)調査の対象:2018年4月1日時点で確認された全国の特例子会社471社を対象。192社から有効回答を得て、回答率は40.8%。

(※)以降の数字、データは同調査結果を出典としています。

障がい種別による職種の傾向は

障がいのある従業員について、主な作業内容をみてみます。障がい内容別に、多く実施されている業務内容の上位3つは以下のようになりました。

・身体障がい者(視覚障がい)

  1. 「指圧、鍼灸、理学療法」
  2. 「データ入力、データ処理」
  3. 「総務/経理等の一般事務」

・身体障がい者(聴覚障がい)

  1. 「データ入力、データ処理」
  2. 「その他印刷」
  3. 「コピー、ファイル、書類発送、書類破棄」

・身体障がい者(上肢障がい)

  1. 「総務/経理等の一般事務」
  2. 「データ入力、データ処理」
  3. 「コピー、ファイル、書類発送、書類破棄」

・身体障がい者(下肢障がい)

  1. 「データ入力、データ処理」
  2. 「総務/経理等の一般事務」
  3. 「コピー、ファイル、書類発送、書類破棄」

・身体障がい者(体幹障がい)

  1. 「データ入力、データ処理」
  2. 「総務/経理等の一般事務」
  3. 「コピー、ファイル、書類発送、書類破棄」

・身体障がい者(脳性麻痺)

  1. 「データ入力、データ処理」
  2. 「総務/経理等の一般事務」
  3. 「コピー、ファイル、書類発送、書類破棄」

・身体障がい者(内部疾患)

  1. 「総務/経理等の一般事務」
  2. 「データ入力、データ処理」
  3. 「コピー、ファイル、書類発送、書類破棄」

・知的障がい者

  1. 「清掃、緑化」
  2. 「メール(社内社外/宅配便)」
  3. 「コピー、ファイル、書類発送、書類破棄」

・精神障がい者

  1. 「データ入力、データ処理」
  2. 「文書の電子化」
  3. 「メール(社内社外/宅配便)」

雇用形態や平均年収の傾向は

雇用形態についてみてみると、回答のあった190社の障がい者常用従業員の合計は1万234人。そのうち、無期契約が7091人で約7割を占め、有期契約は3143人でした。また、常用従業員の他に臨時・パートは191人でした。

特例子会社で働く障がい者の平均年収は、34.8%(62社)が「151~200万円」、24.2%(43社)が「201~250万円」、21.9%(39社)が「101~150万円」でした。

(※年収については、株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部より2017年12月に発表されている「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査 調査結果」による)

「特例子会社」の実態に迫る~企業側の運営状況、各種取り組み事例~

特例子会社におけるさまざまなデータをみてきましたが、離職者についての数字にも少し触れてみましょう。身体障がい者における離職者の勤務年数で最も多かったのが「10年超」(回答のあった195人中44人、22.6%)であり、特例子会社ということもあり、障がい者が長く働くことのできる環境が整備されていることが伺えます。一方で、次に多かったのが「1年超3年」(同40人、20.5%)でした。その他の障がいをみても、知的障がい者で最も多かったのが「1年超3年」(回答のあった168人中43人、25.6%)。精神障がい者で最も多かったのも「1年超3年」(回答のあった153人中52人、34.0%)で、長く働き続けるには一定の課題があることも分かりました。

企業側が感じている課題感と取り組み内容

それでは、離職した方は具体的にどのような理由から転職に至ったのでしょうか。そこから企業が感じている課題感を探っていきます。離職者の離職理由は、身体障がい者は「積極的な転職希望」が最も多く、「家庭の事情」、「障がいの進行」が次いでいます。知的障がい者は「その他、理由不詳」が最も多く、「担当業務が不適」、「勤務状況が不良」が次いでいます。精神障がい者は「その他・理由不詳」と「障がいの進行」が同件数でトップでした。このことから、企業における課題としては、知的障がい者の離職理由にあたる「担当業務が不適」、「勤務状況が不良」が挙げられそうです。

一方で、企業が行っている就労者の定着推進の施策にはどのようなものがあるのでしょうか。定着推進のため実施している施策は、「支援機関・特別支援学校等のネットワーク支援の充実」が146社(回答社191社)で最も多く、以下、「職場管理者への研修」110社、「ジョブコーチの配置」96社が続きました。これらの施策から、業務サポートの充実や職場理解を深めるような取り組みを行っていることが分かります。

職場改善好事例① 第一生命チャレンジド株式会社の場合

第一生命保険相互会社の子会社として設立し、特例子会社として平成2006年11月に認定を受けた同社。安心して働ける環境を整え、課題に対して段階的にチャレンジすることで、社員としての成長を促す取り組みを実現したとして、「2014年度 障害者雇用職場改善好事例 最優秀賞」に選ばれました。具体的な取り組みは以下になります。

  • 不安の軽減
  • 支援機関との連携
  • 出勤の安定
  • コミュニケーションの改善
  • 職域拡大
  • モチベーションアップ
  • キャリアアップ
  • 個人目標の設定

詳しい内容はこちらから

職場改善好事例② オムロン京都太陽株式会社の場合

オムロン株式会社の2番目の特例子会社として、1986年に操業を開始した同社。従業員一人ひとりの職域拡大と技術力の向上に取り組んでおり、「平成2010年度 障害者雇用職場改善好事例 最優秀賞」に選ばれました。具体的な取り組みは以下になります。

  • 作業要領書の電子化
  • ラベル貼り合わせ作業の治具を製作
  • 防水カバーへのバッキン貼り付け作業の治具を製作
  • 袋詰め作業の治具を製作

詳しい内容はこちらから

障がい者の転職活動におけるポイント、留意点

企業による職場改善や定着推進の取り組み事例が多くみられる特例子会社は、障がい者の転職先として一定のメリットがあるといえるでしょう。しかし、転職活動を行うにあたっては、特例子会社に限らず幅広い可能性を探ることがポイントです。特例子会社は、その社数自体がそれほど多くはないので、求人数も比例して多くはない傾向にあります。そのため、特例子会社に絞って転職活動を行うと自身の可能性を狭めてしまうことにも繋がりかねません。自身に合う企業がどのような会社なのか、その特徴と自身の適性を見極めてマッチングを図ることが大切です。その際には、転職エージェントのように専門アドバイザーが企業と求職者との間に入って橋渡しをしてくれるサービスを利用し、活動に役立ててみましょう。

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