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転職活動コラム

身体障害者手帳とは。等級区分や申請方法、取得するメリットを分かりやすく解説

2025.12.01

身体障害者手帳は、身体に一定の障がいがある方が取得できる手帳です。

手帳の交付を受けることによって、公的な支援や福祉サービスを利用したり、法律で設けられた障害者雇用枠での就労を選択したりできるようになります。

「日常生活における経済的な負担を軽減したい」「障害者雇用でキャリアの幅を広げたい」という方は、身体障害者手帳を取得するメリットがあります。

この記事では、身体障害者手帳の基本知識と取得のメリット、具体的な申請手続きの流れ、よくある疑問への回答などを解説します。

身体障害者手帳とは

身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法に基づいて、身体の機能に一定以上の障がいが認められた方に交付される公的な手帳です。都道府県知事または政令指定都市・中核市の市長によって認定・交付が行われます。

2023年度の福祉行政報告例によると、身体障害者手帳の所持者数は全国で478万3,069人となっており、国や自治体によるさまざまな支援が提供されています。

出典:厚生労働省『障害者手帳

交付対象となる障がいの種類

身体障害者手帳の交付対象となる障がいは「身体障害者福祉法別表」に掲げられており、大きく5つに分類されています。いずれの種類も「その障がいが一定以上で永続すること」が要件とされています。

▼身体障害者手帳の障がい分類

障がい分類
1 視覚障がい
2 聴覚・平衡機能の障がい
3 音声・言語・そしゃく機能の障がい
4 肢体不自由

上肢不自由

下肢不自由

体幹機能障がい

脳原性運動機能障がい

5 内部障がい

心臓機能障がい

じん臓機能障がい

呼吸器機能障がい

ぼうこう・直腸機能障がい

小腸機能障がい

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能の障がい

肝臓機能障がい

出典:厚生労働省『障害者手帳

身体障がいの等級区分

身体障がいの内容や程度によって、重度の1級から7級までの等級が定められています。

▼【障がいの種類別】等級区分

障がいの種類 1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
1 視覚障がい
2 聴覚・平衡機能の障がい 聴覚障がい
平衡機能障がい
3 音声・言語・そしゃく機能の障がい
4 肢体不自由 上肢
下肢
体幹
脳原性運動機能障がい
5 内部障がい 心臓機能障がい
じん臓機能障がい
呼吸器機能障がい
ぼうこう・直腸機能障がい
小腸機能障がい
HIVによる免疫機能障がい
肝臓機能障がい

上記の等級区分のうち、身体障害者手帳の交付対象となる人は以下のとおりです。

▼交付対象者

  • 1級から6級のいずれかに該当する人
  • 7級と6級以上の障がいが重複して存在する人

肢体不自由7級の判定のみでは、手帳の交付対象にはなりません。

 

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出典:厚生労働省『身体障害者障害程度等級表

等級区分の認定方法

身体障害者手帳の等級は、自治体が定めた認定基準に沿って決定されます。障がいの種類だけでなく、医師の診断書・意見書を踏まえたうえで評価が行われます。

障がいの程度を認定するうえで考慮される内容には、以下が挙げられます。

▼障がいの程度を認定する際の考慮事項

  • 障がい名
  • 原因となった疾病や外傷名
  • 現状に至る経過や現在の症状
  • 臨床所見
  • 各種検査値
  • 重複障がいの状況
  • 日常生活の制限の程度 など

医学的な検査結果や医師の所見などを総合的に評価することで、個々の障がいに応じた等級の認定が行われる仕組みとなっています。

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身体障害者手帳を取得するメリット

身体障害者手帳を取得すると、障がいの種類や程度に応じたさまざまな支援・サービスを利用できるようになります。具体的な支援・サービスには、以下が挙げられます。

▼支援・サービスの例

  • 医療費の助成
  • 所得税・住民税の控除
  • 補装具・日常生活用具の購入費の助成または支給
  • 公共交通機関の料金割引
  • 障害者雇用枠での就労 など

障がいのある方は、継続的な通院や治療を行ったり、補装具・日常生活用具の購入が必要になったりするため、助成によって経済的な負担を軽減できることは、生活面の安定につながります。また、税金の控除や公共交通機関の料金割引により、障がいを持つ方の負担を軽減するサポートも行われています。

さらに、身体障害者手帳を取得すると、企業の障害者雇用枠で働くことができます。障がいを持つ方に配慮した業務や職場環境が整えられているため、一般雇用枠では就労が難しい方でもキャリアの選択肢を広げられます。

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身体障害者手帳を取得するには

身体障害者手帳を取得するには、住んでいる市町村の福祉事務所または市役所で申請手続きを行い、障がいの認定を受ける必要があります。

申請手続きの流れ

身体障害者手帳の申請から交付までは1ヶ月程度かかることが一般的です。具体的な手続きの流れは、以下のとおりです。

▼申請手続きの流れ

ステップ 対応者 内容
1.申請書類の入手 本人/家族 市町村の福祉担当窓口や市役所で申請書類一式を入手する、または自治体のHPからダウンロードする
2.診断書・意見書作成 指定医師 都道府県知事が指定する医師が診察を行い、診断書・意見書を作成する
3.窓口への提出 本人/家族 指定医師による診断書・意見書と必要書類を揃えて、福祉事務所または市役所の窓口に提出する
4.審査・認定 自治体 書類の内容を踏まえて、障がい程度の評価と等級の判定、交付の可否を決定する
5.交付通知書の送付 自治体 交付の決定後、申請者の自宅に交付通知書を郵送する
6.手帳の受け取り 本人/家族 交付通知書を受け取ったあと、指定された市町村の窓口に出向いて手帳を受け取る

申請に必要な診断書・意見書は、都道府県知事が指定する医師が作成しなければなりません。かかりつけ医が指定医師でない場合には、診療情報(紹介状)の作成を依頼することにより、診察情報をスムーズに引き継ぐことができます。

また、窓口に提出する際は、マイナンバー確認書類や本人の顔写真(指定サイズ)なども必要になるため、事前に準備しておきましょう。

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手帳の取得費用

身体障害者手帳の申請・取得には、申請料や手数料などの費用はかかりません。

ただし、申請に必須となる指定医師による診断費用や、申込書類に添付する顔写真の撮影費用などは自己負担になります。

指定医師の診断費用については医療機関や検査の内容などによって異なるため、事前に問い合わせて確認しておくことが重要です。

更新や再認定について

身体障害者手帳には有効期限がなく、更新の必要はありません。

ただし、手帳の交付後に身体障がいの程度が変化すると予想される場合には、再認定を実施する時期が指定されるケースがあります。手帳に再認定の時期が記載されている方は、再度指定医師の診断書・意見書を提出して、等級の認定を受けることが必要です。

▼再認定が必要とされるケース

  • 成長期での障がい
  • 手術後の経過観察期間
  • 将来的に障がいが進行する可能性があるもの など

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身体障害者手帳に関するよくある疑問

ここからは、身体障害者手帳に関するよくある質問について回答します。

手帳を取得したことは周囲に分かる?

手帳を取得したことは、自分で見せない限り、周りには分からないようになっています。障害者手帳の取得情報は、個人情報として厳重に管理されており、本人の同意なしに第三者に開示されることはありません。

職場や学校などで手帳を取得したことが自動的に知られることはなく、プライバシーは保護されます。開示するかどうかは自己判断となるため、安心して取得を検討できます。

手帳を持つメリットは何ですか?

手帳を取得する最大のメリットといえるのが、公的な支援を受けられることです。医療費の助成や税金の控除、そのほかさまざまな給付や福祉サービスを受けられることから、経済面や家族による介護の負担を軽減できます。

そのほか、障がいに配慮された職場環境で働ける「障害者雇用枠」での就労が可能になったり、公共交通機関や娯楽サービスの料金割引が受けられたりするメリットもあります。

手帳を取得すると一般雇用枠に応募できない?

身体障害者手帳を取得したからといって、一般雇用枠への応募資格が失われることはありません。手帳を所持しているかにかかわらず、自身の希望に応じて一般雇用枠または障害者雇用枠を自由に選択して応募することが可能です。

また、一般雇用枠に応募する際に「障がいを企業に伝えるか(オープンにするか、クローズにするか)」についても本人の判断に委ねられています。

生命保険に加入できなくなる?

生命保険に加入する際には、病気や障がいについて告知することが義務づけられています。しかし、手帳を持っていることだけを理由に加入を拒否されることはありません。

保険会社は、個別の健康状態や病歴を総合的に判断して加入の可否を決定します。適切な告知を行えば、加入できる生命保険商品も多くあります。

申請はどのようにすればよいですか?

身体障害者手帳の申請は、お住まいの市町村の福祉事務所または市役所の担当窓口で行います。本人が窓口に出向くことが難しい場合には、代理人による申請も可能です(委任状と代理人の身元確認書類が必要)。

また、申請時には指定医師による診断書・意見書が必須となるため、事前に自治体のホームページまたは医療機関に確認するようにしてください。

2種類以上の異なる障害がある場合、等級はどのように決定されますか?

2種類以上の異なる障がいがある場合には、それぞれの障がいの等級に割り当てられた指数を合計して、その合計値によって最終的な等級が決定されます。各等級の指数と合計指数の範囲は、以下のとおりです。

▼等級別の指数と合計指数

等級 指数 合計指数(認定等級)
1級 18 18以上
2級 11 11~17
3級 7 7~10
4級 4 4~6
5級 2 2~3
6級 1 1
7級 0.5

例えば、肢体不自由5級と視覚障がい4級の障がいがある場合には、合計指数は[2+4=6]となり、総合4級と判定されます。

 

身体障害者手帳は自分のキャリアを開く心強い味方になる

身体障害者手帳を取得することにより、障害者雇用枠を利用して就労を目指せます。

障害者雇用枠では、障がいを持つ方がその能力を発揮できる業務内容や働き方が用意されているほか、就労上の必要な配慮を受けられるため、長く安定して働くことができます。

「一般雇用枠では就職がなかなか決まらない」という方でも、自身のキャリアを歩める職場と出会える可能性があるため、障害者雇用枠にも目を向けてみることが大切です。

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まとめ

身体障害者手帳は、障がいを持つ方がより豊かな生活を送るための支えになります。

手帳を取得することで、公的な支援や福祉サービス、税制の優遇などの手厚いサポートを受けられるほか、障害者雇用枠での就労というキャリアの選択肢を広げられます。

申請にあたっては指定医師による診断と窓口での手続きが必要になるため、事前に対象の医療機関や必要書類などを確認しておくことがポイントです。

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