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転職活動コラム

2020年4月「障害者雇用促進法」改正 概要、変更点、影響度まとめ

2020.04.27
障がい者業界のコト

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障害者雇用促進法とは

障がい者の雇用等に関する法律に、障害者雇用促進法があります。正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」といい、障がいのある人の職業状況の安定を実現するための取り組みを定めています。1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」がもととなっており、名称を含め、これまで多くの改正がされてきた中で現在に至っています。現在は、障がいのある方への、職業生活の自立を実現するための職業リハビリテーション推進についてや、事業主への障がい者の雇用義務、差別の禁止や合理的配慮の提供などについて定めた内容になっています。

■法律の目的・理念

障害者雇用促進法が制定された目的は、障がいのある方の職業生活における自立をうながす総合的な取り組みによって、職業の安定を実現することです。また、この背景には、ノーマライゼーションの理念があります。ノーマライゼーションとは、障がいの有無にかかわらず、すべての国民が、個人として尊重されること、そして、分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するという理念です。その上で、職業生活においては、本人の能力を発揮して働き、経済活動を構成する労働者の一員としての機会が確保されることをめざしています。

またこのことは、障害者雇用促進法の第3条、第4条に以下のように記載されています。
【第3条】
障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。
【第4条】
障害者である労働者は、職業に従事する者としての自覚を持ち、自ら進んで、その能力の開発及び向上を図り、有為な職業人として自立するように努めなければならない。

そして、これらの目的・理念に関しては、事業主をはじめ、国や地方公共団体の協力も必要という観点から、第5条、第6条では以下のように定められています。
【第5条】
すべての事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであって、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るように努めなければならない。
【第6条】
国及び地方公共団体は、自ら率先して障害者を雇用するとともに、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるほか、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めければならない。

障がいのある方の雇用に関して、国や地方公共団体では、このように社会全体の理解を高めるよう努めることが求められています。

■対象となる障がい者

成立の目的や理念、背景について紹介してきましたが、実際に障害者雇用促進法が対象としている障がい者はどのような方なのか、みてみましょう。

条文で定められている障がい者は「身体障害や知的障害、発達障害を含む精神障害、その他の心身の機能の障害により、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける者、あるいは職業生活を営むのが著しく困難な者」で、以下のように分類できます。

  • 身体障害者手帳を持つ身体障がい者(身体障害者手帳1、2級を持つ重度身体障がい者も含む)
  • 療育手帳または知的障害者判定機関の判定書を持つ知的障がい者ないし重度知的障がい者
  • 精神障害者保健福祉手帳をもつ人のうち症状が安定し、就労が可能な精神、発達障がい者
  • 統合失調症、躁うつ病、てんかんのある人のうち、症状が安定し、就労が可能な状態にある精神、発達障がい者
  • その他の心身の機能の障がいがあるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、職業生活を営むことが著しく困難なその他の心身機能障がい者

■具体的な取り組み

上記の対象者に対して、先に述べた目的を達成するための、3つの取り組みがあります。

  • 雇用義務制度
  • 職業リハビリテーションの推進
  • 差別の禁止と合理的配慮の提供義務

「雇用義務制度」とは、事業主に対して、それぞれの雇用率に相当する人数の障がい者を雇用する義務を定めるものです。この雇用率が「障害者雇用率(法定雇用率)」であり、現在は従業員45.5人以上いる民間企業の雇用率は2.2%、2021年3月末までには、2.3%に引き上げられることになっています。

「職業リハビリテーションの推進」は、障がいのある人の職業安定を図るための方策で、職業指導、職業訓練、職業紹介などを通して、職業生活の自立を促進しています。主な職業リハビリテーションの実施機関には、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、公共職業安定所などがあります。

「差別の禁止と合理的配慮の提供義務」について、まず、差別の禁止とは、第34条にて「事業主に対し、労働者の募集や採用について障害のある人に障害のない人と同じ機械を与えなければならない」とされており、第35条においては、「事業主に対し、賃金の決定や教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇について、障害があることを理由に不当な差別的取扱いをしてはならない」と定められています。また、合理的配慮の提供義務については、障がいの有無にかかわらず平等の機会を確保し、社会的障壁をなくすために行われる個別の対応や支援を合理的配慮としています。

「障害者雇用促進法」法律改正の歴史を振り返る

これまで多くの改正がされてきた障害者雇用促進法。ここでは、最近行われた改正における主な変更内容等を振り返ります。

■2016年(平成28年)の改正に関して

2016年に行われた改正では大きく3つの内容が変更になりました。その内容を改めて確認していきましょう。

  1. 雇用義務対象範囲の拡大
    発達障がいを含む精神障がいの方が、この改正に伴い、新たに雇用義務の対象に加わり、法定雇用率の算定基礎の対象となりました。
  2. 合理的配慮提供の義務化
    社会的障壁をなくすために行われる個別の対応や支援をさす合理的配慮ですが、改正により提供が義務とされました。
  3. 差別の禁止
    障がいの有無によって選考結果に影響がでたり、賃金設定が変わるなど、雇用の分野における障がいを理由とする差別的取扱いが禁止されました。

■2018年(平成30年)の改正に関して

雇用率の算定にもかかわる内容に変更があったのが2018年の改正です。障がい者雇用の促進につながることが期待される主な変更点を紹介します。

  1. 障害者雇用促進法が適応される従業員数の引き下げ
    従業員数50人の企業から障がい者の雇用義務が発生した障害者雇用促進法。改正により、対象企業の従業員数が45.5人に引き下がりました。また、この引き下げは段階的なもので、2021年4月までには43.5人以上への引き下げが予定されています。
  2. 法定雇用率の引き上げ
    改正前は2%だった民間企業の法定雇用率が、改正後は2.2%になりました。2021年4月までには、2.3%への段階的な引き上げが予定されています。

障害者雇用促進法 2020年4月の主な改正点

障害者雇用促進法における、改正の歴史について振り返り、現在に至るまでの主な変更点をみてきました。直近では、2019年6月に新たな改正案が成立、施行は2020年4月となり、内容の一部改正が行われました。ここでは主な改正内容として、2点紹介します。

■事業主に対する給付制度

この改正により創設されたのが事業主に対する給付制度です。正式には「週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援」で、週20時間未満の雇用障がい者の人数に応じて、給付金が支給されます。障がいの内容によっては、週20時間以上の勤務が困難な障がい者がいるにもかかわらず、これまでは、週20時間未満の雇用障がい者は雇用率の算定に含まれていなかったため、事業主は、障害者雇用調整金などの支援金を受け取りづらかった実情がありました。

給付金制度の枠組みと給付される金額について紹介します。

  • 週所定労働時間20時間未満の労働者に対して、事業主に給付金を支給
  • 雇用率制度の対象となる障がい者はこれまで通り「週20時間以上の労働者」
  • 支給対象となる雇用障がい者の所定労働時間は10時間が下限
  • 支給額の単価は調整金・報奨金の4分の1程度
  • 支給期間は限定しない

■優良事業主としての認定制度

また、事業主に対する給付金制度の他に、この改正から創設されたのが、「優良事業主としての認定制度」です。正式には、「障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設」で、条件を満たした企業のうち、常用労働者が300人以下の中小企業を、優良な事業主として認定するものです。認定制度はポイント制となっており、以下の項目において一定の点数以上となる企業が認定される仕組みになっています。

  • 障がい者雇用の推進体制の整備
  • 障がい者雇用に関する理解浸透
  • 職務の選定・創出
  • 職場環境の整備
  • 雇用管理の充実
  • 障がい者を採用し、活躍を推進するための計画立案
  • 募集・採用の取組
  • 職場定着の取組
  • 関係機関との連携

優良事業主と認定された中小企業は、自社の商品や広告などにおいて、認定マークの使用が認められるなどのメリットがあります。

障害者雇用促進法に関しての企業の留意すべき点とは

障害者雇用促進法におけるこれまでの改正内容からもわかるように、雇用義務対象範囲の拡大や合理的配慮提供の義務化など、障がい者にとっての働く環境が改善されているようにうかがえます。障がい者を雇用する事業主においては、ノーマライゼーションや障がいへの理解を深めるとともに、障害者雇用促進法が適応される従業員数や法定雇用率は今後も段階的に変わっていくことが予定されているため、社内の雇用率などを正しく把握し、雇用計画に反映させていくことが求められそうです。

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