てんかんは、脳にある神経細胞の異常な電気活動によって発作を引き起こす慢性的な病気です。日本では1,000人に5~8人がてんかんを持っていると言われています。
就職や転職にあたって「発作の不安から転職に踏み出せない」「自分に合った仕事が分からない」など悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
てんかんの持病がある人が向いている仕事や活用できる支援制度などを理解することで、自分に合った働き方を見つけて就職・転職活動をスムーズに進められます。
この記事では、てんかんを持つ人が仕事で直面しやすい悩みや仕事の選び方、就職・転職活動を行うポイント、活用できる支援制度・サービスなどを紹介します。
出典:厚生労働省『てんかん対策』
目次
てんかんを持つ人が仕事で直面しやすい悩み
てんかんの発作が起こる状況や症状は人によってさまざまです。予期せぬ発作が起こるケースもあるため、仕事においてさまざまな心配ごとや課題に直面することがあります。
業務内容に関する制限がある
てんかんを持つ人は、発作が起こる可能性があることから、安全面を考慮して従事できる業務が制限されています。制限される主な業務には、以下が挙げられます。
▼てんかんを持つ人が制限される業務の例
- 自動車や重機の運転業務
- 精密機械の操作
- 建設現場での高所作業
- 化学薬品を扱う危険な作業 など
これらの制限により、希望する職種での就職ができなかったり、キャリアアップの機会が限定されたりすることがあります。適切な治療によって発作のコントロールができている場合には、職場環境の工夫によって安全に従事できる業務も存在します。
周囲の理解を得られないことがある
職場の同僚や上司がてんかんに対する正しい知識を持っていない場合には、無用な誤解や偏見から十分な理解やサポートを得られないことがあります。
例えば、周囲から過度に心配されたり、安全面の配慮がなく業務を割り振られたりすることもあるかもしれません。このような職場環境では、働きづらさや仕事へのプレッシャーを感じやすいといえます。
発作への不安がありストレスを感じる
「いつ発作が起こるか分からない」「仕事中に発作が起きて周囲に迷惑をかけたらどうしよう」といった不安は、てんかんを持つ人が常に抱えやすい悩みといえます。
また、てんかんに対する理解が十分でない職場では、「発作が起きた時にきちんと対応してもらえるのか」という心配もあります。
このような不安から日常的なストレスが生じると、睡眠不足や疲労などにつながり悪循環となってしまう可能性も考えられます。
てんかんを持つ人の仕事の選び方
てんかんを持つ人が自分らしく働くためには、自身の症状や発作の状況などを踏まえて職種や働き方を選ぶことが大切です。ここからは、てんかんを持つ人が活躍しやすい仕事の選び方について解説します。
デスクワークで座りながら働ける
デスクワークが中心の仕事は、てんかんを持つ人が働きやすい職種の一つです。
パソコンを使ったデータ処理や資料作成などは座って行える業務になるため、万が一発作が起きた際に身の安全を確保しやすいと考えられます。
▼デスクワークが中心の仕事例
- 一般事務
- 経理
- 労務管理
- 総務 など
また、これらの仕事ではトラブル時の緊急対応や不規則的な業務が少ないことから、心身ともに安定して働きやすいというメリットもあります。
軽作業を安全な環境で行える
決められた手順に従って行う軽作業は、身体的な負担が少ないといえます。また、座りながらでの作業や、接触・転落事故などを避けられる場所で行える仕事は、てんかんを持つ人にとって安心して従事しやすいといえます。
▼安全な環境かつ軽作業で行える仕事例
- 倉庫や物流施設での梱包・ラベル貼り
- 生産ラインでの品質検査 など
これらの仕事は、パソコンのスキルがなくても未経験から始めやすいほか、チームで協力しながら進める業務も多いため、職場の人たちからのサポートを受けやすいと考えられます。
勤務時間が規則的または柔軟性がある
てんかんの発作は、睡眠不足や疲労によって誘発されることがあると考えられており、日ごろの生活リズムを整えることが重要とされています。
在宅勤務やフレックスタイム勤務など、勤務場所・時間を柔軟に選択できる仕事は、てんかんを持つ人が自分のペースで働けるため、生活リズムを安定させやすくなります。
▼自分のペースで働きやすい仕事例
- Webデザイナー
- Webライター
- プログラマー など
また、その日の体調に合わせて休息をとったり、通院による治療と両立したりできるため、治療を行いながら長く働き続けることが期待できます。
てんかんを持つ人が就職・転職活動を行うポイント
てんかんを持っており仕事の不安がある方でも、自分の現状を正確に把握して企業に対して適切な情報提供を行うことで、自分らしく働ける職場と出会うことができます。就職・転職活動を行う際に押さえておきたいポイントには、次の3つが挙げられます。
➀自身の症状や発作の状況を整理する
まずは自身のてんかんの症状や発作の状況を客観的に整理することが必要です。
自身の状況を深く理解することで「どのような職種や働き方が向いているか」「どんな環境であれば安心して働けるか」などを探るヒントになります。
▼整理しておくこと
- 発作が起きた際の具体的な症状
- 発作の頻度や継続時間
- 発作が起こりやすい時間帯や環境
- 考えられる誘発要因
- 現在受けている治療内容や服薬状況
また、てんかんの状況を整理したあとは、「働くうえで自分の強みとなる点は何か」を自己分析することで、求人の選択や面接での自己アピールをスムーズに行えます。
②できること・できないことを明確する
求人への応募や面接の際には、業務内容についてできること・できないことを明確に伝えることが重要です。例えば、「座りながらの作業は問題ないが、機械の運転や運搬は難しい」といったように具体的な業務レベルで説明することが求められます。
自身が得意なことと業務の制限を具体的に共有することで、企業が配属先や業務の調整などを検討しやすくなります。また、入社後に「想像していた業務と違った」「期待されていた能力を発揮できない」といったミスマッチを防いで、双方にとってメリットのある関係性を築くことにつながります。
③必要な配慮や発作時の対応を具体的に伝える
入社後もてんかんと向き合いながら仕事を続けられるように、企業に対して必要な配慮や発作時の対応について具体的に伝えることも欠かせません。
▼求職者による伝え方の具体例
- こまめに小休憩をとりたい
- 月に1回は通院のため休みをいただきたい
- 発作が起きたときは〇〇の対応をお願いしたい など
てんかんを持つ人に対して職場の理解があり、業務上の配慮やサポートを行ってくれる会社を選ぶことで、長く安定して働き続けられます。
自分に合った働き方を見つけるために。活用できる支援制度やサービス
一人で就職・転職活動を進めることに不安を感じる方や、なかなか希望に合う企業から内定をもらえず悩んでいる方は、公的制度や支援サービスを活用することも選択肢の一つです。
企業の障害者雇用枠で応募する
障害者手帳を取得することで、企業の障害者雇用枠での応募が可能になります。企業には、従業員の一定割合以上で障がいを持つ方を雇用することが義務づけられています。
障害者雇用枠で応募すると、てんかんを持つことをオープンにした状態で選考が進むため、入社後に必要な配慮について事前に相談でき、職場からのサポートを受けやすくなります。
▼企業に対して期待できる配慮やサポート
- 発作が起きた際の対応に関する社内共有
- 定期的な通院に必要な時間の調整
- 作業環境における安全面の配慮
- 相談窓口の設置や定期面談の実施 など
なお、2024年6月1日時点での民間企業における障害者雇用の就業者数は約67.7万人となり、21年連続で過去記録を更新しています。今後も雇用の拡大が期待されています。
出典:厚生労働省『障害者雇用のご案内』
就労移行支援を活用する
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて、障がいのある方の一般企業への就職をバックアップするための障害福祉サービスです。
このサービスでは、職業訓練を通じて自身のスキルを向上させたり、企業との面接練習や履歴書の書き方といった就職活動のサポートを受けたりできます。
また、自分にどのような仕事が向いているのか専門的な視点からアドバイスを受けられるため、これまで気づかなかった適性や強みを見つけ出すきっかけにもなります。
転職エージェントに相談する
転職エージェントは、専任のキャリアアドバイザーが転職の相談から希望に合った求人の紹介、選考サポート、入社後のフォローまでをワンストップで支援してくれます。
障がい者雇用に特化した転職エージェントを活用することで、てんかんへの理解が深い企業と出会いやすくなります。自身の病状や希望する働き方を正確に伝えれば、企業との間に立って必要な配慮を交渉してくれるため、安心して転職活動を進められます。
障がい者のための転職エージェント『エージェント・サーナ』は、求職者の適性を踏まえて自分らしく働ける職場への就職・転職を一貫してサポートしています。「今よりも自分の強みを生かす仕事を見つけたい」「てんかんのことを理解してくれる職場で働きたい」など、転職のお悩みはエージェント・サーナにご相談ください。
まとめ
デスクワークや軽作業が中心の仕事や、柔軟に勤務時間を調整しやすい仕事は、てんかんを持つ人にとって安心して働き続けやすいと考えられます。
就職・転職を進める際は、まずは自身のてんかんについて症状・発作の状況を整理するとともに、「どのような業務に対応できるか」「どのような配慮が必要か」などを企業へ具体的に伝えることがポイントです。
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