
障害者雇用での就職・転職において、「年収500万円以上の求人はあるのか」「現実的にどれくらいの年収を目指せるのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
一般雇用枠と比較して障害者雇用は給与水準が低いとされていますが、自身のスキルや経験を積むことによってキャリアアップを目指すことは可能といえます。
この記事では、障害者雇用における平均年収と年収500万円以上の求人例、給与水準が高い会社への就職を目指すポイントなどを解説します。
目次
障害者雇用の平均年収とは
障害者雇用で働くにあたって、給与水準はキャリアを築くうえで多くの人が気になる点といえます。厚生労働省の『令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書』を基に、障害者雇用で働く人の平均年収を見てみましょう。
身体障がいを持つ方の1ヵ月の平均賃金(所定労働時間が30時間以上)は26万8,000円となり、年収に換算すると[26万8,000円×12ヶ月=321万6,000円]となります。また、週所定労働時間が短い人ほど1ヵ月の平均賃金は低くなるため、年収も減少します。
▼【週所定労働時間別】身体障がい者の平均賃金

画像引用元:厚生労働省『令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書』
このような調査結果から、障害者雇用での就職において「年収500万円」という目標は一般的に見てハードルが高いと考えられます。しかし、一般枠と同様に、保有スキルやキャリアによっては高収入な仕事への転職を目指すことは可能です。
出典:厚生労働省『令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書』
障害者雇用で年収500万円以上の求人例
障害者雇用での平均年収は300万円台となっていますが、年収500万円以上の高収入を目指せる求人も存在します。年収500万円以上の求人では、専門的なスキル・資格や一定期間の実務経験が求められる傾向があります。
➀開発職
IT関連企業やメーカーにおいて製品・システムの開発に携わる仕事は、高収入を目指しやすい分野の一つです。開発職にはさまざまな職種があり、必要とされる専門的な知識・スキルが異なります。
▼主な開発職と仕事内容
| 職種 | 主な仕事内容 | 必要なスキル |
| システムエンジニア | システム要件定義の作成、開発プロジェクトの管理 | ITやAIなどの情報工学の知識、プログラミング言語スキル、論理的思考力、問題解決力 |
| インフラエンジニア | サーバやネットワークの設計・構築・運用・保守 | サーバ・ネットワーク・OS・データベースの運用知識、情報セキュリティの知識 |
| 半導体エンジニア | 電子回路の設計・レイアウト制作、品質評価 | 電気・電子工学の知識、CAD/CAMの技術スキル |
| プログラマー | 要件定義書や仕様書に基づいたプログラムのコーディング | Java、Python、C++などのプログラミング言語スキル、デバッグスキル |
| Webデザイナー | Webサイトのデザイン、コーディング、UI/UX設計 | HTML/CSS、JavaScript、デザインツールなどの操作スキル |
②企画・マーケティング職
企画・マーケティング職は、会社や店舗などの売上を伸ばして、ブランド価値を高めることを目的とした戦略を立案・実行する職種です。
この分野では、デジタルマーケティング、Web広告運用、SNSアカウントの運用、イベント企画運用などの仕事内容の求人が多く見られます。
求められるスキルは多岐にわたりますが、特にデータを用いた分析力や論理的な思考力、クライアントの課題を踏まえた提案力、新しい価値を生み出す発想力などが重視されます。
③マネジメント職
部門やチームを統括するマネジメント職での求人は、高収入を目指せる職種の一つです。管理者やマネージャー候補として、幅広い業界や部門で求人募集が見られます。
▼マネジメント職で求人募集が行われる業界・分野の例
- 営業部門
- 人事部門
- 介護福祉
- 商品企画
- 店舗運営 など
この職種では、同職種での実務経験やプロジェクトに携わった実績、メンバーの育成・指導能力、部門全体の目標達成に向けた統率力など、複合的な能力が求められます。
④専門事務
一般事務に比べて、専門的な知識や資格が求められる専門事務は、高収入を目指しやすい分野といえます。人材の専門性が高く評価されるため、給与水準が高い求人が見られます。
▼専門事務の具体例
| 種類 | 主な仕事内容 | 必要なスキル |
| 法務事務 | 契約書の作成・精査、法令に基づく社内規定の整備、訴訟対応 | 法律に関する知識、文章作成や読解力 |
| 経理事務 | 伝票の作成・処理、入出金管理、経費精算、財務諸表の作成 | 簿記や会計の知識、Excelの関数・マクロなどのスキル |
| 医療・介護事務 | 患者の受付・会計、レセプトの作成、備品管理 | 医療・介護保険の知識、基本的なPCスキル |
特に公認会計士や司法書士、行政書士などの資格を持つ方は、一般企業や士業事務所などの求人において人材需要が高く、安定したキャリアを築くことが可能です。
⑤製造業や建設業の技術職
製造業や建設業でものづくりに携わる技術職は、高度な技術と専門知識が必要とされるため、年収500万円以上の求人が見られます。
従事する業務によって必要な能力は異なりますが、主に工学・化学・情報工学・電気工学などの専門知識・技術が求められます。
技術職で活躍できる分野には、以下が挙げられます。
▼技術職の活躍分野
| 業種 | 活躍できる分野 |
| 製造業 | 製品の開発・設計、生産設備の保守管理、品質管理 |
| 建設業 | 建築物の設計、施設・設備の保守点検 |
⑥コンサルティング職
コンサルティング職は、クライアントが抱える経営課題を専門的かつ客観的な知見によって解決を支援する仕事です。
障害者雇用枠でもコンサルティングファームの求人が多く見られ、成果主義の給与体系を導入している企業も多いため、能力に応じて高収入を目指すことができます。
▼コンサルティング職の領域
- 経営戦略
- IT戦略
- 人事・採用戦略
- 財務戦略 など
コンサルティング職で働くには、専門領域に関する深い知見と論理的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力などのスキルが求められます。
障害者雇用で年収500万円はハードルが高い?
年収500万円以上の求人で見られる仕事は、障害者雇用に限らず高い専門性や複合的なスキルが求められるため、すぐに高収入を目指すことは難しいと考えられます。
特に以下のようなケースでは、年収500万円のハードルは高いといえます。
フルタイムでの勤務が難しい
高年収を目指すためには、まずフルタイムで働くことが基本となります。通院や休養時間の確保のためにフルタイムで働くことが難しい場合は、所定労働時間が通常の労働者よりも少なくなるため、年収の目標達成は難しくなります。
高収入を目指すには、できるだけ給与水準が高い会社を選ぶことが必要ですが、それに加えてフルタイムでも無理なく働けるように、企業との両立体制の調整や徹底した体調管理を行うことが重要です。
応募する職種が未経験
年収500万円以上となる障害者雇用の求人は、即戦力が求められます。特に専門性の高い職種では、同一職種での実務経験が3年以上求められるケースが一般的です。
未経験者は応募資格がない場合もあるため、給与水準がそれほど高くなくても、希望する職種で実務経験を積むことが必要です。
働きながら知識・スキルの習得や実績を積むことで、「将来的に昇給を目指す」「給与水準が高い企業に転職する」といったように、高年収への選択肢を広げられるようになります。
専門スキル・資格がない
専門スキルや資格がない方は、年収500万円以上の高収入を目指すことが難しくなります。
なぜなら、開発職や技術職、経理事務、法務事務などの専門的な職種では、その仕事に関する深い知識と実践的なスキルが必要になるためです。
例えば、工場やメーカーで働く技術職では、工学や電気工学などの専門分野での学歴が応募資格として求められるケースがあります。
障害者雇用で年収500万円を目指すためのポイント
障害者雇用で年収500万円以上を目指す方は、自身の経験やスキルを積み、段階的にキャリアアップを図ることがポイントです。
すでに同一職種での実務経験や専門スキルがある方は、選考を受ける際に自身の能力を示して、即戦力として活躍できることをアピールしましょう。
ここからは、高収入の会社に転職するための3つのポイントを解説します。
➀自身の経験・スキルを活かせる職種を選択する
未経験の職種に挑戦するよりも、これまでの経験・スキルを活かせる職種を選択するほうが業務遂行能力が高く評価され、高収入を目指しやすいと考えられます。
採用担当者に対して、これまで携わってきた仕事を通じて得た知見・スキルを「転職先でどのように活かせるか」を数値的な実績やエピソードを交えて伝えることがポイントです。自身の価値を客観的な情報とともに示すことが、給与条件の交渉に必要となります。
②市場価値の高いスキルを身につける
未経験の職種に挑戦して年収500万円以上を目指すには、人材需要が高い専門職種に就くためのスキルを身につけることが必要です。単独スキルよりも複数のスキルセットを持つことで、転職市場における人材の価値が高くなり、採用につながりやすくなります。
また、近年はIT人材の需要が高まっており、プログラミング言語のスキル、ビッグデータ分析、AI技術活用などのスキルを持つ人材は特に重宝されやすい傾向があります。
▼専門的なスキルを習得する方法
- オンライン教材や書籍を利用して独学で習得する
- 外部の資格講座を受講する
- 専門スクールに通って一定の課程を修了する
③キャリアパスについて事前に相談する
企業が提示するキャリアパスの内容を踏まえて、入社後に自身が歩みたいキャリアや将来のビジョン、収入の目標などを事前に相談することもポイントです。
入社してすぐに年収500万円に到達できなくても、実務経験を積んで成果を上げたり、専門資格を取得したりすることで、将来的に収入アップを実現できる可能性があります。
事前にキャリアの目標を伝えておくことで、入社後にキャリアアップやスキルアップの機会を得られる場合もあります。
年収アップを目指すなら転職エージェントの活用が有効
「希望する収入条件にマッチする求人が見つからない」「複数の企業で選考を受けたけれど落ちてしまう」などの悩みを抱える方は、障害者雇用専門の転職エージェントを活用することが有効です。
転職エージェントは、キャリアアドバイザーが求職者の希望に合った求人の紹介や選考対策などを行い、採用活動を行う企業とのマッチングを支援するサービスです。
障害者雇用に特化した転職エージェントの『エージェント・サーナ』は、障害者雇用で高収入を目指す方をサポートいたします。主な強みには、以下が挙げられます。
◇キャリア設計のアドバイス
前職からの転職理由や将来のビジョンなどを踏まえて一人ひとりに合ったキャリアを考えます。年収アップを目指すための職種選びやスキルの強化など、目標に合わせて何を行うべきか専門的な視点からアドバイスいたします。
◇非公開求人の保有
一般公開されていない高待遇・専門職の求人を多数保有しており、求職者の能力・経験を最大限に活かせる求人の提案とマッチングの支援を行います。
◇企業との条件交渉のサポート
求職者の能力や経験を客観的に評価して企業に対して分かりやすく伝えるとともに、給与や昇給などの条件交渉を行い、希望年収の実現をサポートします。
障害者雇用の転職で収入アップを実現した体験談を紹介
ここからは、エージェント・サーナをご利用いただいた方の体験談を紹介します。
【46歳/男性/高校職員】業績に応じて昇給できる職場への転職
派遣社員から正社員登用がある職場への転職を実現した事例です。
▼転職理由
左半身にマヒがあるため、デスクワークで働ける金融機関で契約社員として仕事をしていましたが、正社員登用がなく待遇にも差があることから将来の不安を感じ、安定した職場への転職を決断しました。
▼転職活動の状況
「正社員登用がある」「勤務地が近い」「業績に応じて昇給できる」という条件を決めて希望に沿った企業を紹介してもらいました。人と接する仕事であることや、本人の意欲や主体性を重視する方針に共感できたことから入社を決めました。
▼転職後の感想
学校法人が運営する高校の職員として、生徒や保護者の方とかかわる仕事にやりがいを感じています。希望する条件や不安を正直にエージェント・サーナの担当者に伝え、サポートしてもらえたことにより、安定して働ける職場と出会えました。
エージェント・サーナの「利用者ファースト」で、より良い職場に出合えました
【51歳/女性/営業事務】前職と同じIT業界で待遇アップを実現
同じ業界での転職を通じて待遇アップを実現した事例です。
▼転職理由
グループ会社への転籍によって給与が減給になったほか、入力作業という単純な業務内容に変わったことで、少しでも給与がよく経験を積める職場への転職を決めました。
▼転職活動の状況
年齢的な面から転職に不安がありましたが、職務経歴書の書き方や企業研究の重要性などを教えてもらったことで複数の会社で面接まで進みました。求職者と真摯に向き合ってくれた会社に好印象を抱き、入社を決意しました。
▼転職後の感想
営業事務としてさまざまな仕事を任されるようになり、毎日が充実しています。また、減給前の給与水準に戻り、待遇面にも満足しています。
まとめ
障害者雇用において年収500万円は、平均年収を上回る水準となることから、ハードルは高いと考えられます。高収入を目指すには、専門的なスキルや資格を身につけたり、実務経験を積んだりして自身の価値を高めることが重要です。
『エージェント・サーナ』は、あなたの能力や経験を適正に評価して、希望年収の実現に向けた職種の選定や企業との条件交渉をサポートいたします。キャリアアドバイザーと二人三脚で希望するキャリアの実現を目指しましょう。






