障がいを持つ方が就職・転職するにあたって、国内企業だけでなく外資系企業も選択肢の一つとなります。外資系企業は、多様性(ダイバーシティ)を重視する文化が浸透しており、障がいを持つ方にとっても働きやすい環境が整っていることが期待されます。
しかし、「外資系企業で働くにはどのようなスキルが必要なのか」「日本企業の文化とどのような違いがあるのか」と不安を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、外資系企業と日系企業との違いや障害者雇用枠の特徴、代表的な職種、外資系企業への就労が向いている人などについて解説します。
目次
外資系企業とは
外資系企業とは、外国の企業や投資家が株式の過半数を所有しており、経営権を握っている日本の企業を指します。グローバルな事業展開を行っている企業が多く、本社は海外にありますが日本国内にも拠点を置いていることが一般的です。
▼外資系企業の代表的な業界
- 投資銀行
- メーカー
- IT
- 製薬
- 保険
- コンサルティングファーム など
外資系企業は、日本のビジネスとは異なる独自の文化や価値観を持っており、働き方においても日系企業とは大きく異なる場合があります。
日系企業との違い
外資系企業と日系企業には、働き方や企業文化にさまざまな違いがあります。
▼日系企業と外資系企業の違い
日系企業 | 外資系企業 | |
雇用 | 特定の職務内容に対して、スキルを持つ人材を雇用する | 職務を限定せず雇用して、能力・適性に応じて配置転換を行う |
給与体系 | 年俸制や成果主義が主流 | 年功序列や月給制が主流 |
職場風土 | 個人主義的で個人の裁量権が大きく、多様な働き方を受け入れる | 協調性やチームワークが重視され、組織への帰属意識が高い |
人事評価 | 実績や成果が重視される | 実績に加えて勤務態度や協調性なども評価対象となる |
日系企業では、長期的な人材育成を前提として雇用するため、長く安定して働きやすい特徴があります。一方の外資系企業は、個人主義・成果主義の考えが強く、個人のスキルや実績が重視されます。
外資系企業における障害者雇用枠の特徴
外資系企業の障害者雇用では、採用基準や評価方法、働き方などにおいて日系企業とは異なる特徴が見られます。一般的な特徴には、以下が挙げられます。
➀オープンポジション型やジョブ型での求人が多い
日本の企業では、雇用後に複数の職種を経験して総合的なスキルを習得させる「ジョブローテーション型」が見られますが、外資系企業では「オープンポジション型」と「ジョブ型」が主流となっています。
▼外資系企業の主流な雇用型
雇用型 | 概要 |
オープンポジション型 | スキルや希望に応じて最適なポジションを探して雇用する |
ジョブ型 | 職務内容を明確に定義して、その職務を遂行できるスキル・経験を持つ人 材をピンポイントで雇用する |
外資系企業では、入社後すぐに活躍できる即戦力が求められることから、企業が求める職務内容への適性が重要視されます。
②専門的なスキルや実務経験が求められる
外資系企業の障害者雇用では、学歴やポテンシャルよりも専門的なスキルやこれまでの実務経験がより重視される傾向にあります。
特定の分野で専門的なスキル・技術を持つ人や、特定の職種での実務経験が豊富にある人は、選考で高く評価されます。新卒採用の場合では、職歴がない方や未経験でも応募可能な求人もありますが、スキルを身につけていることは選考において大きな強みとなります。
③実力や成果に応じた人事評価を受けられる
障害者雇用枠でも実力や成果に応じた人事評価を受けられることも特徴です。
日本の企業では、従業員の年齢や勤続年数に応じて給与・役職が上がる“年功序列型”の人事評価制度がよく見られますが、外資系企業にはこのような制度はありません。
実力主義・成果主義の企業文化が根付いており、年齢や勤続年数に関係なく、個人の能力・成果がダイレクトに評価に反映されます。そのため、転職回数やブランクはあまり重視されず、自身の頑張り次第で昇給やキャリアアップが期待できます。
④柔軟な働き方が用意されている
外資系企業は、個々の事情に合わせた柔軟な働き方が用意されていることが多くあります。
▼柔軟な働き方ができる制度
- 時差出勤制度
- フレックスタイム制度
- 短時間勤務制度 など
このような勤務制度があると、通院や療養と仕事を両立しやすくなるため、障がいを持つ方にとって働きやすい職場環境といえます。
⑤多様性を受け入れる社風がある
多様な国籍や文化的背景を持つ人が働いている外資系企業では、多様性を受け入れる社風が浸透しています。
一人ひとりの個性や意見が尊重されやすい環境のため、障がいを持つ方も自分らしく働きやすいといえます。障がいに対する理解も深く、オープンに相談しやすい雰囲気があることも期待できます。
外資系企業の障害者雇用枠に見られる具体的な職種
外資系企業の障害者雇用枠では、自身のスキルや経験を活かしてさまざまな職種で活躍することが可能です。主な職種には、以下が挙げられます。
事務職・サポート業務
パソコンを使ったデータ入力や資料作成、書類管理などが中心となる事務職は、外資系企業の障害者雇用でよく見られる職種の一つです。身体的な負担が少ないため、障がいの特性に合わせて働きやすいといえます。
▼事務職・サポート業務の具体的な職種
- 一般事務・経理事務・人事労務事務
- 法務・コンプライアンス管理事務
- 受付やデータ入力の業務 など
エンジニア
専門的なスキルが求められるエンジニアは、外資系企業において需要が高い職種の一つです。特にIT関連企業や製造メーカーなどの企業に求人が多く見られます。
また、成果主義が主流の外資系企業では、ITに関する専門スキルと実務経験が高く評価されるため、能力に応じて高収入を目指すことも期待できます。
▼エンジニアの具体的な職種
- システムエンジニア
- 電気エンジニア
- 機械エンジニア
- 半導体エンジニア
- エンジニアサポート業務 など
Webデザイナー・DTPデザイナー
WebデザイナーやDTPデザイナーは、専用のソフトウェアを使ってWebコンテンツや印刷物などを制作する専門職です。
パソコンを使った作業が中心となるため、障がいの特性に応じた働き方が可能です。選考時にはソフトウェアを扱うスキルや資格の有無、これまでの制作物などを基に評価されます。
▼Webデザイナー・DTPデザイナーが活躍する部門
- IT関連部門
- 広報・マーケティング部門
- 商品企画部門 など
カスタマーサポート
幅広い業界の外資系企業で見られるのが、カスタマーサポートの職種です。社外ヘルプデスクやコールオペレーターなど、パソコンや電話対応での業務が中心となり、複雑な作業が発生しないため、未経験でも挑戦しやすいのが特徴です。
カスタマーサポートは、特に英語でのコミュニケーションスキルを持っている方が選考で歓迎されやすい傾向にあります。グローバルな環境で語学力を活かしたい方に向いています。
障害者雇用枠で外資系企業への就労が向いている人
外資系企業は、日本の企業とは異なる特徴があるため、自分に合った働き方ができるかどうか慎重に判断することが大切です。以下に当てはまる人は、外資系企業への就労が向いていると考えられます。
高収入やキャリアアップを目指したい
外資系企業では、実力や成果が重視されるため、年齢や勤続年数に関わらず業務での成果や実績が直接的に待遇へと反映されます。
自分の能力を最大限に発揮して成果を出すことで、昇給・昇格が期待できます。高収入や早期のキャリアアップを目指したい方に適しているといえます。
自身の保有スキルや資格を生かしたい
外資系企業では、学歴や職歴よりも即戦力となる専門的なスキルや資格が求められる傾向があります。そのため、特定のスキルや資格を持つ方は選考で高く評価されやすく、自身の能力を活かして活躍することが可能です。
▼スキルや資格の具体例
- プログラミングスキル
- Webデザインスキル
- 語学スキル(TOEIC・TOEFLなど) など
未経験の職種や実務経験がない方でも、このようなスキルや資格があることでスムーズな採用につながることが期待されます。
通院や体調面に合わせて働き方を調整したい
障がいを持つ方のなかには、フルタイムで規則的に働くことが難しい人もいます。外資系企業は、ワークライフバランスを重視する文化が根付いており、事情に応じて柔軟に働き方を選択できます。
また、個人主義的な考えが強く、自分の裁量で業務を調整しやすい体制となっている企業も見られます。定期的な通院が必要な方や体調に波がある方でも、無理なく働き続けやすいと考えられます。
外資系企業で働くうえでの注意点もある
外資系企業の障害者雇用枠にはさまざまな選択肢がありますが、日系企業との雇用に対する考え方の違いによっていくつか注意点も存在します。
収入が不安定になりやすい
成果主義の評価基準を設けている外資系企業では、入社後に十分な成果を上げられなかった場合に収入が減少する可能性があります。
また、入社後は成果を上げるために努力を続けることも求められます。期待に応えられなかった場合には、企業から退職を勧奨されたり、契約期間終了後の更新が行われなかったりすることも少なくありません。
昇給・昇進を目指すよりも「安定した収入を維持したい」という方にとっては、外資系企業に勤めることが将来の不安につながる可能性があります。
職場環境に馴染めない場合がある
外資系企業には、日本の企業とは異なる独特な文化や職場風土があります。
成果を最優先する個人主義的な働き方や、意見をはっきりと主張するコミュニケーションスタイルに戸惑い、職場にうまく馴染めない人も少なくありません。また、言語や文化の違いから人間関係の構築に苦労する人もいます。
「協調性やチームワークを重視する働き方が自分に合っている」と感じる方は、外資系企業よりも日系企業のほうが働きやすい場合があります。
外資系企業で働くなら転職エージェントの活用がポイント
外資系企業の障害者雇用枠は、企業によって求められるスキルや応募条件が異なるほか、働き方や職場風土もさまざまです。就職・転職活動を行うにあたって、自分の障がい特性に適した職種の選択や、応募先企業とのマッチ度を図ることが難しい人も少なくありません。
そこで役立つのが、障害者雇用に特化した「転職エージェント」です。転職エージェントを活用することで、自分に合った求人の紹介や選考のサポートを受けられ、外資系企業への転職をスムーズに進められます。
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まとめ
外資系企業の障害者雇用は、実力主義・成果主義の考え方やワークライフバランスを大切にする柔軟な働き方、多様性の尊重といった特徴があり、「自身の能力を最大限に活かして高収入やキャリアアップを目指したい」という方に適しています。
その一方で、成果によっては収入が不安定になったり、職場環境に馴染めなかったりする可能性も考慮しておく必要があります。入社後のミスマッチを防ぐためには、転職エージェントを活用して、自分に合った働き方を見つけることも一つの方法です。
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