膀胱機能障害があっても、適切な職場環境と支援があれば充実した職業生活を送れます。頻尿や尿漏れなどの症状に配慮した働き方を選択し、専門的な転職サービスを活用すれば、安心して働ける職場を見つけることが可能です。
この記事では、膀胱機能障害をお持ちの方が働きやすい職場環境や転職活動に役立つサービスをご紹介します。
目次
膀胱機能障害とは
膀胱機能障害とは、膀胱に尿を溜めたり、排尿したりする機能に問題が生じる障がいの総称です。
膀胱機能障害の主な症状
- 頻尿（1日8回以上の排尿）
- 尿失禁（意図しない尿漏れ）
- 残尿感（排尿後も尿が残っている感覚）
- 尿意切迫感（急激で我慢困難な尿意）
- 排尿困難（尿が出にくい状態） など
症状は人によってさまざまですが、日常生活や仕事に支障をきたすこともあります。一方で、適切な治療と職場での配慮があれば、症状をコントロールしながら働き続けることは可能です。
膀胱機能障害の原因
膀胱機能障害は、さまざまな原因で引き起こされます。
主な原因の一つは、脳や脊髄の病気や損傷による神経の障がいです。これによって、膀胱と脳との間の信号伝達がうまくいかなくなります。また、加齢による膀胱の機能低下や、膀胱炎、前立腺肥大症などの病気も膀胱機能障害の原因となります。
膀胱機能障害の主な原因の例
- 脊髄損傷や脊髄疾患
- 脳血管疾患（脳梗塞、脳出血など）
- 糖尿病による神経障害
- 多発性硬化症
- パーキンソン病
- 前立腺肥大症
- 膀胱炎をはじめとする感染症
- 加齢による膀胱機能の低下 など
膀胱機能障害の一般的な治療
膀胱機能障害の治療法は、その原因や症状の種類によってさまざまです。一般的には、薬物療法、理学療法、そして手術療法が挙げられます。
| 治療法 | 概要 |
| 薬物療法 | 膀胱の働きを調節する薬や、尿意を抑える薬などを用いる |
| 理学療法 | 骨盤底筋を鍛えることで排尿のコントロールを改善する訓練を行う |
| 手術療法 | 膀胱拡大術や神経刺激療法などを実施する |
医師との相談によって個々の症状に最適な治療法を選択する必要があります。特に、手術療法は症状が重い場合や、ほかの治療法で効果が見られない場合に実施されることが一般的です。
膀胱機能障害をお持ちの方が働く際の課題
膀胱機能障害により頻尿の症状を持つ方が職場で直面する最大の課題は、仕事中に頻繁にトイレに行く必要があることです。特に会議や接客中など、業務を中断しにくい場面では対応が困難となります。
また、尿漏れ（尿失禁）の症状がある場合は、衛生面やにおいに対する不安を抱くこともあります。
膀胱機能障害は見た目からわからないため周囲に理解してもらうことが難しく、一人で悩みを抱え込むケースも少なくありません。
膀胱機能障害を抱えて働く際のポイント
膀胱機能障害を持ちながら職場で活躍するためには、環境整備と周囲との適切なコミュニケーションが重要となります。症状に配慮した働き方を実現し、安心して業務に集中できる条件を整えることで、充実した職業生活を送ることが可能です。
トイレに行きやすい環境を確保する
トイレにスムーズに行ける環境があれば安心して業務に取り組みやすくなり、頻尿の症状による不安を大幅に軽減できます。職場のトイレまでの動線を確保したうえで席の配置や業務内容を調整し、必要な時にすぐに対応できる体制を整えることが重要です。
外出先でもトイレの場所を事前に確認しておき、環境面での準備を心がけることで症状管理がしやすくなります。
上司や同僚の理解を得る
膀胱機能障害は、見た目では分かりにくい障がいです。そのため、周囲に理解を求めるためには、自分から症状の特性や必要な配慮について伝えることが欠かせません。
例えば頻尿の症状がある場合、体調管理の一環として頻繁にトイレに行く必要があることを上司や同僚に事前に伝えておくと、不要な誤解を防ぐことが可能です。
また、障害者雇用制度の活用や産業医との面談を通じて、職場全体での理解促進を図る方法もあります。
勤務時間を調節する
膀胱機能障害の症状管理には、通院・治療のために勤務時間の調節が必要となる場合があります。定期的な医療機関での診察や検査、リハビリテーションなどのスケジュールに合わせて、勤務時間を調節することが重要です。
勤務時間の調整について事前に人事部門や上司と相談し、症状に配慮した勤務体制を整えることが安定した職業生活につながります。
健康管理を徹底する
膀胱機能障害の症状改善には、食事・睡眠などの生活習慣やストレスも排尿と関連性があるため、総合的な健康管理が欠かせません。規則正しい食生活と十分な睡眠時間の確保、適度な運動習慣の維持により、症状の安定化が期待できます。
また、職場でのストレス管理や水分摂取のタイミング調整など、日常の小さな工夫も症状コントロールに大きく影響します。自身の体調と向き合い、無理のない範囲で健康管理を心がけることがポイントです。
膀胱機能障害をお持ちの方にとって働きやすい職場環境
膀胱機能障害を抱えながら長く安心して働くためには、職場の環境が重要です。体調の変化に柔軟に対応でき、精神的な負担を減らせるような環境が整っていると、症状による制約を抑えて自身の能力を十分に発揮しやすくなります。
医療設備
職場に休養室や健康管理室が設置されていると、体調不良時や症状の悪化時に落ち着いて休息を取れます。血圧計やAEDなどの基本的な医療機器が備わっている環境では、緊急時にも適切な対応が期待できます。
また、産業医や医療スタッフがいると体調変化に迅速に対応できるほか、症状に関する相談や職場での配慮事項について専門的なアドバイスを受けることが可能です。定期的な健康チェックや医療相談の機会があることで、症状の管理と職業生活を両立しやすくなります。
バリアフリートイレ
職場におけるバリアフリートイレの有無は、膀胱機能障害を持つ方の職場選択において重要な要素です。バリアフリートイレは多機能トイレとも呼ばれ、車椅子利用者だけでなく様々な身体的制約のある方が利用しやすい設計となっています。
特にオストメイト（人工肛門・人工膀胱保有者）の場合、職場のトイレが対応している必要があり、専用の洗浄設備や汚物処理設備が欠かせません。また、通常のトイレよりも広いスペースがあることで、着替えや医療器具の管理もしやすくなります。
会社見学や面接の際に、バリアフリートイレが設置されているかを確認しておくことがポイントです。
柔軟な勤務時間を実現する制度
柔軟な勤務時間を実現する制度が整っている職場であれば、体調に合わせて無理なく働けます。たとえば、フレックスタイム制や時短勤務制度があれば、通院や治療のための時間を確保しやすくなります。
また、通院のための特別休暇制度があると、定期的な医療機関での診察や治療を受ける際に、有給休暇を消費することなく必要な医療ケアを受けることが可能です。
症状が不安定な時期に勤務開始時間を遅らせたり、早退しやすい環境があることで、体調管理と業務の両立が図りやすくなります。これらの制度により、長期的なキャリア形成と健康管理の両方を実現できる職場環境が整います。
膀胱機能障害をお持ちの方が転職を目指す際に活用できる施設・サービス
現在の職場で障がいへの配慮が難しい場合、働きやすい環境を求めて転職することは有効な選択肢の一つです。障がい者向けの転職支援サービスを活用することで、自身の症状や希望に合った職場を見つけやすくなります。
ここでは、転職活動をサポートしてもらえる主な施設やサービスをご紹介します。
ハローワーク
ハローワーク（公共職業安定所）では、障がいを持つ方の就職活動を支援するため、障がい者向けの専用窓口が設けられています。
専門の相談員が個別の状況を丁寧にヒアリングし、障がいに配慮した求人情報の提供や、就職活動に関するアドバイスをしてもらえます。
ハローワークで受けられるサポート
- 専門の相談員による職業相談
- 障がい者に特化した求人情報の提供
- 応募書類の添削や面接指導
- 職場見学の調整
- 企業との条件交渉サポート など
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障がい者の職業リハビリテーションを専門に行う施設です。
就職を希望する障がい者に対し、職業評価や職業指導、職場適応のための支援など、一人ひとりのニーズに合わせたサポートを提供しています。
地域障害者職業センターで受けられるサポート
- 職業能力や適性を評価するための職業評価
- 職業選択や就職活動に関するアドバイス
- 職場での人間関係や業務遂行の課題を解決するための支援
- 職場での定着をサポートするためのジョブコーチ支援 など
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障がいを持つ方の仕事と日常生活の両面をサポートする施設です。
就職活動の支援だけでなく、就職後の職場定着に向けた支援や、生活面での課題解決も手伝ってもらえます。地域密着型のサービスにより、身近な場所で継続的な支援を受けられる点が特徴です。
障害者就業・生活支援センターで受けられるサポート
- 就職に向けた準備支援（職業準備訓練、職場実習のあっせん）
- 就職活動全般のサポート
- 職場への定着に向けた相談
- 生活習慣や健康管理の指導
- 家計管理や生活設計の相談 など
一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかなサポートが特徴です。なお、職業の紹介は行っていません。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障がい者に対し、必要な知識やスキルを習得するためのサポートを提供しています。就職に必要な訓練や、企業での実習などを通じて、スムーズな就職を支援します。
膀胱機能障害の症状に配慮しながら、段階的に職業準備を進められる環境が整っており、安心して就職活動に向けた準備を行うことが可能です。
就労移行支援事業所で受けられるサポート
- ビジネスマナーやスキル、コミュニケーションに関する職業訓練
- 企業での職場実習・トライアル雇用
- 履歴書の作成や面接対策
- 企業とのマッチング支援
- 就職後の定着支援 など
就職後のフォローアップも行ってもらえるため、長く働き続けるために役立ちます。
障がい者専門の転職エージェント
障がい者専門の転職エージェントは、企業の障がい者雇用枠求人を豊富に取り扱う民間のサービスで、個別のニーズに応じたきめ細かい転職サポートを提供しています。
一般的な転職サイトでは見つけにくい、配慮のある求人情報を多数保有している点が特徴です。
転職エージェントで受けられるサポート
- キャリアアドバイザーによる個別相談
- 障がいへの配慮がある非公開求人の紹介
- 応募書類の添削や面接対策
- 企業との条件交渉
- 入社後のフォローアップ など
障がい者の転職支援に長年の実績を持つ「エージェント・サーナ」では、専門のキャリアアドバイザーが、一人ひとりの希望や障がいの状況を丁寧にヒアリングし、最適な求人を紹介しています。
転職エージェントを活用して働きやすい職場への転職を成功させた事例
膀胱機能障害を持つ33歳の男性、Y.S.さんは、安定した仕事に就くため転職を決意しました。初めての転職活動で不安がありましたが、エージェント・サーナによるサポートを受けることにしました。
面接のトレーニングを受けたことで自信を持って選考に臨めるようになり、わずか2か月で障がいへの理解が深い企業の内定獲得に成功しています。現在は事務作業を担当しており、今後は経験を活かした業務にも携わる予定です。
まとめ
膀胱機能障害を抱えていても、適切な支援と環境があれば充実した職業生活を十分に送れます。自身の症状を理解したうえで働きやすい環境や仕事内容を見つけることが重要です。
ハローワークや地域障害者職業センター、障がい者専門の転職エージェントなど、様々な支援機関を積極的に活用することで、症状に理解のある企業との出会いが期待できます。
障がい者雇用専門の転職エージェント「エージェント・サーナ」では、プロのアドバイザーがあなたに寄り添い、障がいの特性に合った求人のマッチングや面接対策のサポートなどを実施いたします。膀胱機能障害でも働きやすい職場への転職をご希望の方はぜひご相談ください。
