障害者雇用での転職活動において、面接は合否を分ける重要な場面です。一般的な質問に加えて、障害特性や必要な配慮に関する質問にも適切に答える準備が求められるため、事前の対策が成功へのカギとなります。
この記事では、実際の面接でよく聞かれる質問とその回答ポイントを具体的に解説していきます。
目次
障害者雇用における面接の重要性
障害者雇用における面接では、企業側は応募者の能力を評価するだけでなく、どのような配慮が必要かを具体的に把握したいと考えています。そのため、スキルや経験といった一般的な質問に加えて障害に関連した質問も行われます。
このような質問に回答する際は、障がいを抱えて働くうえで必要な配慮を漏らさずに伝えることが重要です。また、面接を通じて企業側に「障がいを持っていても問題なく働いてもらえる」という安心感も持ってもらう必要があります。
自身の障害特性を正確に説明しながら、業務遂行能力や就労意欲もしっかりとアピールすることで、双方にとって最適なマッチングが実現します。
障害者雇用の面接で聞かれること9選
面接に落ち着いて臨むためには、想定される質問への準備をしておくことが重要です。ここからは障がい者雇用の面接で実際によく聞かれる質問と回答のポイントを解説します。
自己紹介・自己PR
面接の冒頭で求められる自己紹介・自己PRは、1分程度で簡潔にまとめることが重要となります。詳細な質問はあとでされるため、短い内容で問題ありません。
名前や経歴の概要を端的に伝えることで、面接官に好印象を与えられます。職歴にも簡単に触れるとよく、これまでどのような業務を担当してきたかを一言添えることで、その後の質問につながりやすくなります。
長々と話しすぎると面接官の質問時間を奪ってしまうため、要点を絞ることが大切です。
自身の障がいについて
障がいの内容や特性について質問された際は、わかりやすく伝えることが求められます。医学的な専門用語だけでなく、日常生活や業務にどのような影響があるかを具体的に説明することで、面接官の理解が深まります。
障がいの特性に対する自己理解について見られているため、客観的に自分の状態を把握している姿勢を示すことが重要です。嘘や隠し事はせず、そのうえで相手の不安を軽減するような伝え方をする必要があります。
困難な面だけでなく、どのような工夫や対処法で業務に取り組めるかも併せて伝えることで、採用担当者に安心感を与えられます。
志望動機
志望動機では、相手が納得できる志望動機を示す必要があります。
この際、条件面を志望動機として提示することはおすすめできません。「自宅から近い」「休みが多い」などの待遇だけを理由にすると、意欲が低いと判断される可能性があります。
企業研究をしっかりとしたうえで、自分がどのように貢献できるのかを示すことがポイントです。企業の事業内容や理念に共感した点と自身のスキルを結びつけて説明できると、志望動機の説得力が増します。
これまでの経歴やキャリアについて
経歴やキャリアに関する質問では、自分にどんなことができるのかを具体的に伝えることが求められます。「営業経験があります」といった抽象的な表現ではなく、「法人営業で年間50社の新規開拓を担当し、売上目標を120%達成しました」のように数字や成果を交えて説明すると効果的です。
どのような業務を任せるのがよいかを企業側が判断する際の材料となるため、使用できるソフトウェアや保有資格、得意な業務領域なども明確に伝える必要があります。障害者雇用であっても経歴によっては即戦力として期待されるため、これまでの実績を丁寧に整理しておくことが大切です。
前職の退職理由
退職理由を聞かれた際は、正直で前向きな回答を心がける必要があります。
特に病気や障がいが理由の場合、隠さずに伝えると同時に同じことを繰り返さないための対処法を示すことが有効です。しっかりと自己管理できていることが伝われば、企業側に安心してもらいやすくなります。
具体的な対処法の例
- 現在は通院と服薬により症状が安定しています
- 定期的な休憩を取ることで集中力を維持できます など
また、退職理由を他責として語ることは避けるようにします。「前職では配慮をお願いしにくい環境でしたが、今後は早めに相談する姿勢を大切にしたいと考えています」のように自己改善の視点を盛り込むことで好印象につながります。
業務上で必要な配慮
必要な配慮について質問された際は、障がいの特性に応じて企業に求める必要のある配慮を具体的に示すことが求められます。必要な配慮を明確に伝えることで、企業側も対応策を検討しやすくなります。
業務上で必要な配慮の例
- 静かな環境で作業させてほしい
- 通院のため月1回午後休をいただきたい など
この際、一方的に配慮を求めるだけでなく、自分自身で行える対処とセットで伝えることが重要です。自助努力を示すことで、企業に安心感を与えられます。
薬の服用や通院について
服薬や通院の状況は、勤務スケジュールを調整するうえで企業が把握しておきたい情報です。
薬の服用頻度や副作用について具体的に説明し、業務に影響がある場合は正直に伝える必要があります。この際、業務への影響の有無を明確にすると企業側も安心できます。
薬の服用についての回答例
- 毎朝1回服用しており、日中の業務に支障はありません
- 服用後30分程度眠気が出るため、始業前に飲んでいます など
また、通院が必要な頻度についても具体的な希望を示すことで、勤務調整がスムーズになります。
通院の頻度についての回答例
- 月1回通院のため午後休をいただきたい
- 3か月に1回の通院で、有給休暇で対応可能です など
前職でストレスを感じたこと
ストレスに関する質問では、自身がストレスを感じやすい状況について正直に答えることが求められます。「急な予定変更が苦手」「騒がしい環境で疲れやすい」など、具体的な場面を挙げることで、企業側は配慮すべきポイントを理解しやすくなります。
この際、ストレスへの向き合い方や対処法も併せて伝えることがポイントです。自己対処法を示すことで、自己管理能力をアピールできます。
ストレスへの向き合い方・対処法の例
- 予定が変わる際は早めに知らせてもらえると対応しやすいです
- 休憩時間に静かな場所で過ごすことでリフレッシュしています など
ストレスを感じること自体は誰にでもあるため、前向きな対処姿勢を見せることが重要です。
残業の可否
残業に関する質問は、業務の繁閑に応じた柔軟な働き方が可能かを確認する意図があります。職種や業務内容によっては残業を求められるケースがあるため、自分の体調や障害特性を踏まえて正直に回答することが大切です。
無理に「できる」と答える必要はなく、体調優先で構いません。入社後に体調を崩してしまっては本末転倒になってしまいます。この際、障がいの特性や医師の指示など納得感のある理由を説明することが重要です。
また、やむを得ない場合の対応可能範囲を示すと、柔軟性も伝わります。
面接官に好印象を残すための基本的なポイント
障害者雇用の面接においても、障がいに関することだけでなく、面接の基本を押さえておくことも重要になります。
面接の基本的なポイント
- 身だしなみや言葉遣いに気をつける
- 一方的に話さない
- 緊張したときの対処法を用意しておく
- 相手の目を見て話す など
身だしなみや言葉遣いは第一印象を左右する要素となるため、清潔感のある服装を心がけ、丁寧な敬語を使うよう意識しましょう。この際、一方的に話さず、面接官の質問をしっかり聞いてから答えることが大切です。緊張したときの対処法も用意しておくと、落ち着いて面接に臨めます。
また、相手の目を見て話すことで誠実さや自信が伝わりますが、視線を合わせることが難しい場合は、相手の鼻や額のあたりを見るようにすると自然な印象を与えられます。
障害者雇用の面接に関するサポートを受けられる施設・サービス
障害者雇用の転職活動では、面接対策を含めた専門的なサポートを受けられる施設やサービスが複数存在します。一人で準備を進めることに不安を感じる場合は、これらの支援を積極的に活用することで、自信を持って面接に臨めるようになります。
ハローワーク
ハローワークは公共職業安定所として、全国各地で就職支援を行っている機関です。障害者向けの専用窓口があり、求人の紹介だけでなく面接指導も受けられるため、初めて障害者雇用に応募する方にとって心強い存在となります。
専門の相談員が応募書類の添削や模擬面接を実施してくれるほか、企業との間に入って条件交渉をサポートしてくれるケースもあります。無料で利用でき、地域の求人情報が豊富に揃っている点も特徴です。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための訓練施設です。面接対策を始め、一般企業への就職に向けたさまざまな訓練が受けられます。
就労移行支援事業所で受けられる訓練の例
- ビジネスマナーやパソコンスキルの習得
- 職場でのコミュニケーション練習 など
面接に関しては、想定質問への回答練習や本番を想定した模擬面接を繰り返し行うことで、自信を持って臨めるようサポートしてもらえます。就職後の定着支援も実施しているため、長期的なキャリア形成を見据えた支援を受けたい方に適しています。
障がい者専門の転職エージェント
障がい者専門の転職エージェントは、障害者雇用に特化した求人紹介と転職支援を行うサービスです。一般的な転職サイトとは異なり、障害特性や必要な配慮を理解したキャリアアドバイザーが担当につき、個別のニーズに合わせたサポートを提供してもらえます。
「エージェント・サーナ」は30年以上の実績を持つ障がい者専門の転職エージェントとして多くの転職成功事例を持っており、大手企業から中小企業まで幅広い求人を扱っています。専任のアドバイザーが丁寧にサポートを行っており、安心して転職活動を進められます。
キャリア・アドバイザーの面接アドバイスで転職に成功した事例
実際にエージェント・サーナを利用して転職に成功した方の事例を紹介します。いずれも、キャリア・アドバイザーによる面接のアドバイスが転職成功のカギとなっています。
明石（35歳 女性）さんのケース
明石さんは、エージェント・サーナのキャリア・アドバイザーから具体的な面接指導を受けて転職に成功しました。
特に、前職の退職理由をネガティブに聞こえないように伝える方法を指導してもらったことが、面接の通過につながりました。また、キャリア・アドバイザー自身の身だしなみやお辞儀、挨拶の仕方、対話の仕方なども面接に向けたよい手本になったといいます。
現在は総務人事部で主に総務を担当しており、通院しながら安心して働ける環境で活躍されています。
K.T（31歳 女性）さんのケース
K.Tさんは、エージェント・サーナの面接トレーニングを受けて登録から1か月で就職が決まりました。面接トレーニングで学んだ「自分の中だけで完結しないコミュニケーション」が大きく役立ち、相手に伝わる話し方を身につけられました。
現在は社内向けイベントを企画運営する部門でメールマガジン制作やプロフィール帳の作成などを担当しており、部門の方とアイディアを出し合いながら業務を進めています。面接トレーニングで得た学びを入社後も生かし、独りよがりの企画にならないように努めています。
S.K（47歳 男性）さんのケース
S.Kさんは、エージェント・サーナの面接トレーニングを受けて転職に成功しました。
現在の会社との面接は3回行われ、一次面接では緊張したものの、面接トレーニングのおかげで面接官としっかり対話できたといいます。
現在は金融業界の支店で来店されるお客様への案内や環境整備を担当しており、初めての業界ながら勉強しながら業務を進めています。職場の環境や体調面への配慮も行き届いており、安心して働ける環境が整っています。
まとめ
障害者雇用の面接では、一般的な質問に加えて障害特性や必要な配慮に関する質問が行われるため、事前の準備が重要です。自己紹介や志望動機といった基本的な質問から、障がいの内容や必要な配慮、服薬や通院の状況まで、具体的かつ正直に答えることが求められます。
面接の基本マナーを守りつつ、ハローワークや就労移行支援事業所、障がい者専門の転職エージェントといった支援機関を活用することで、より効果的な面接対策が実現します。
「エージェント・サーナ」では、プロのアドバイザーがあなたに寄り添い、障がいの特性に合った求人のマッチングや書類作成、面接対策のサポートなどを実施いたします。障がい者雇用の面接に対して不安をお持ちの方はぜひご相談ください。
