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転職活動コラム

潰瘍性大腸炎(IBD)の方に向いている仕事とは。職場環境の条件を解説

2025.11.05

潰瘍性大腸炎(IBD)と診断され、「自分にできる仕事があるのだろうか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。潰瘍性大腸炎を抱えながら仕事をすることは、適切な職場選びと環境整備によって十分に実現できます。

この記事では、潰瘍性大腸炎の症状と仕事への影響、向いている仕事、職場選びのポイントに加えて、障がい者雇用という選択肢について解説します。

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気で、国が定めている難病の一つです。クローン病とともに炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれています。

症状が落ち着く「寛解期」と、症状が悪化する「再燃期」を繰り返す点がこの病気の特徴です。完治させる治療法は確立されておらず、生涯にわたって付き合う必要があります。

主に30歳以下の成人に多いものの、小児や50歳以上の年齢層が発症するケースも見られます。

出典:厚生労働省「097 潰瘍性大腸炎

 

潰瘍性大腸炎の原因

潰瘍性大腸炎の正確な原因は未だに解明されていませんが、複数の要因が複雑に絡み合って発症する多因子疾患だと考えられています。

現在のところ、遺伝的要因と環境要因が関与しており、これらが腸内の過剰な免疫応答を引き起こすことで、大腸の慢性的な炎症が生じるとされています。

ストレスも潰瘍性大腸炎の症状を悪化させる一因と考えられていますが、発症の直接的な原因ではありません。

出典:厚生労働省「097 潰瘍性大腸炎

 

潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎の症状は、病気の活動期となる再燃期に顕著になり、消化器症状と全身症状に大きく分けられます。症状の程度や種類は、炎症が生じている大腸の範囲や重症度によって異なる点が特徴です。

主な症状

潰瘍性大腸炎におけるもっとも特徴的な症状として、消化器症状が挙げられます。

消化器症状の例

  • 血便
  • 粘血便
  • 下痢
  • 血性下痢 など

病変が広がっている範囲や炎症の重症度によって、症状の出現パターンや程度は大きく変わっていきます。軽症の場合は血便を伴わないものの、重症化すると水溶性下痢と出血が合わさり、滲出液と粘液に血液が混ざった状態となります。

これらの消化器症状は、患者の精神的な負担にもなりやすい点が特徴です。

そのほかの症状

消化器系の主な症状のほかに、全身性の症状が現れるケースもあります。

全身症状の例

  • 腹痛
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 貧血 など

腹痛に加えて、重症化に伴って発熱や食欲不振による体重減少などが生じます。消化器症状で出血を伴うことから、貧血もよく見られる症状の一つです。

これらの全身症状は体力の消耗や疲労感につながるため、日常生活や仕事のパフォーマンスに悪影響を与えるリスクが懸念されます。

 

潰瘍性大腸炎で生じる合併症

潰瘍性大腸炎においては腸管内での合併症に加えて、腸管外にもさまざまな合併症が生じます。これらの合併症は病状の悪化に伴って発生し、仕事や生活の質を大きく低下させる要因となることがあります。

腸管合併症

潰瘍性大腸炎の進行に伴う腸管合併症には、多くの重篤な状態が含まれています。

潰瘍性大腸炎による腸管合併症の例

合併症の種類 概要
大量出血 腸に大きな潰瘍ができることで、血管が破れて大量出血が起きる
中毒性巨大結腸症 腸内にガスや毒素が溜まって膨らみ、全身に中毒症状が現れる
穿孔 中毒性巨大結腸症や強い炎症に起因して大腸に穴が開く
狭窄 長期間の炎症や寛解・再燃の繰り返しによって腸管が狭くなる
大腸がん 腸の炎症が長期間続くことで、大腸がんのリスクが高まる

状況に応じて、緊急の医療対応や入院治療、外科的手術などが必要になります。

腸管外合併症

潰瘍性大腸炎の炎症は、大腸以外の全身のさまざまな部位にも影響を及ぼし、腸管外合併症を引き起こします。

潰瘍性大腸炎による腸管外合併症の例

合併症の種類 概要
アフタ性口内炎 口腔内にアフタと呼ばれる、痛みを伴う浅い潰瘍が生じる
眼症状 眼の炎症で痛みや眩しさを感じたり、充血したりする
関節炎 膝や足首などの関節が痛む
結節性紅斑 皮膚に痛みを伴う赤い結節が現れる。足首やすねに出やすい
壊疽性膿皮症 皮膚に大きな病変ができる慢性かつ進行性の炎症皮膚疾患
強直性脊椎炎 背骨や骨盤の関節に炎症が起き、進行すると動きが制限される
原発性硬化性胆管炎 胆管の炎症によって肝機能に影響が生じる

口や目、関節、皮膚、背骨、骨盤、胆管など合併症のリスクがある部位は多岐にわたり、専門的な治療が必要となります。

 

潰瘍性大腸炎による仕事への影響

潰瘍性大腸炎の症状は、特に再燃期において仕事の進め方や職場での人間関係にさまざまな影響を及ぼします。寛解期でも体調管理は欠かせないため、病気の特性を理解した働き方を選ぶ必要があります。

頻繁にトイレに行く必要が生じる

潰瘍性大腸炎の主な症状の一つとなる下痢や血便は、頻繁にトイレに行く必要を生じさせます。

これにより、会議中や顧客への接客中など、席を離れにくい状況で支障をきたす可能性があります。また、営業職や外勤業務がある仕事では、出張や業務のための外出に支障が生じることもあるため、業務計画の調整が必要です。

加えて、頻繁にトイレに行く行為そのものに対して、周囲の同僚や上司の目が気になるケースが考えられます。この精神的なストレスによって症状がさらに悪化し、悪循環に陥る可能性も懸念されます。

業務中の身体的な負担が大きくなる

潰瘍性大腸炎の再燃期には、腹痛をはじめ、発熱や貧血といった体調不良が起きやすくなり、業務パフォーマンスに影響をおよぼします。全身の倦怠感や疲労感も伴うため、集中力や作業効率も低下します。

特に、肉体労働や長時間の立ち作業などは症状の悪化を招く可能性があるため、業務内容の調整が必要です。重いものを持ち運ぶ作業においては安全面のリスクも生じます。

身体への負担が大きい業務は、潰瘍性大腸炎を持つ人にとって継続が難しくなりやすいことから、職種選択の時点で慎重な検討が必要です。

定期的な通院治療が必要になる

潰瘍性大腸炎は管理が必要な慢性疾患のため、症状をコントロールし、寛解を維持するために定期的な通院治療が欠かせません。

治療内容によっては、通院に半日以上かかることもあります。休日を通院のために充てることになると、仕事以外でのリフレッシュ時間が削減される状況になります。

治療に伴う精神的ストレスに加えて、通院によるプライベート時間の制限がストレス管理を難しくするケースも見られます。

 

潰瘍性大腸炎を抱えながらでも仕事しやすい職場環境

潰瘍性大腸炎を持ちながら仕事を続けるためには、職場の環境整備が大きなカギです。個人の工夫だけでなく、職場全体での環境やサポート体制が整っていることが、長期的な就業の継続につながります。

トイレに行きやすい環境

潰瘍性大腸炎を抱えて働く場合、急な便意や頻繁な下痢に対応するため、いつでもトイレに行ける環境が欠かせません。

営業職のように外出が多い仕事よりも、オフィスビルや店舗などの屋内で働ける職場のほうが、すぐにトイレに行きやすくなります。また、業務内容として、頻繁に席を離れることが難しい接客や製造ライン作業などは負担になる可能性があります。

業務の区切りをつけやすく、体調に合わせて業務量を調整できる職場なら、トイレに行くための時間を周囲に遠慮せずに確保することが可能です。

柔軟な働き方ができる環境

定期的な通院や、急な体調不良による欠勤・遅刻のリスクに対応するためには、柔軟な働き方ができる仕組みが整っている環境が理想的です。

フレックスタイム制度をはじめとする柔軟な働き方のオプションがあると、通院スケジュールを立てやすくなります。休日以外でも治療を受ける時間を確保できるようになることで、通院に伴うストレスの軽減が可能です。

また、体調が悪い日には無理なく勤務時間を調整できる環境は、働きやすさにもつながります。このような柔軟性があることで、仕事と治療のバランスが取りやすくなり、長期的な職業継続が現実的になります。

周囲の理解を得られる環境

体調不良時に業務を代わってもらったり、急な欠勤時にフォローしてもらったりするなど、周囲からの理解・協力を得やすい環境が必要です。

特に病状が不安定な再燃期や合併症がある場合、安定して働くためには同僚や上司からのサポートが欠かせません。疾患について職場に開示しやすい環境が整っていると、配慮に基づいた対応が受けやすくなります。

また、病気を理由とした休務や業務調整が認められやすい社内風土が整っていると、精神的な負担が軽減でき、安心して仕事に集中できます。

 

潰瘍性大腸炎をお持ちの方に向いている仕事・向いていない仕事

潰瘍性大腸炎の方が仕事を選ぶ際は、症状が悪化しにくいよう、職場環境と業務内容の特性を考慮することが大切です。特に、トイレへのアクセスや勤務時間の柔軟性が、仕事の継続に大きく関わります。

向いている仕事

屋内で働けるオフィスワークは、潰瘍性大腸炎を持つ方に適した仕事です。トイレにアクセスしやすく、体調に合わせて業務量を調整しやすい利点があります。

潰瘍性大腸炎をお持ちの方に向いている仕事の例

職種 理由
一般事務 室内で座りながら作業でき、トイレにもいきやすい
経理・人事 一定の場所での勤務が可能で、トイレ環境も整えやすい
Webデザイナー・ライター 体調を考慮した柔軟な働き方が実現しやすい
データ入力業務 室内で座りながら作業でき、体への負担が少なく継続しやすい

向いていない仕事

外での勤務が中心となる営業職や肉体労働が伴う職種は、潰瘍性大腸炎を持つ方にとって継続が難しくなる可能性があります。

潰瘍性大腸炎をお持ちの方に向いていない仕事の例

職種 理由
営業職 外での勤務が中心となるためトイレにアクセスしにくい
建設・製造の作業員 肉体労働で体への負担が大きく、症状が強く出る可能性がある
飲食店の調理師・ホールスタッフ 長時間の立ち仕事に加えて、トイレが限定されるという環境的な課題がある
トラックドライバー 長時間の外出が必要であり、通院時間の確保も難しくなる
介護職・看護師 肉体労働や立ち仕事が多く、体力の消耗が激しい

 

潰瘍性大腸炎と障がい者雇用

現在の職場で十分な配慮が受けられない場合、障がい者雇用での転職も選択肢です。

障がい者雇用を利用するためには、障がい者手帳の取得が欠かせません。潰瘍性大腸炎の場合、病状の程度によって「ぼうこう又は直腸機能障害」として認定を受けられる可能性があります。

ぼうこう又は直腸機能障害の認定基準

等級 認定基準
1級 ぼうこう又は直腸の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
3級 ぼうこう又は直腸の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 ぼうこう又は直腸の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

東京都福祉局「第7 ぼうこう又は直腸機能障害」を基に作成

障がいを抱えていることを前提とした雇用によって、必要な配慮が受けやすくなり、周囲の理解も得やすい環境で働けるようになります。

出典:東京都福祉局「第7 ぼうこう又は直腸機能障害

 

障がい者雇用を検討する際はキャリア・アドバイザーへ相談を

障がい者雇用での転職活動を進める場合は、専門のキャリア・アドバイザーへ相談することがおすすめです。

障がい者専門の転職エージェントでは、特性を活かせる求人を紹介してもらえるだけでなく、豊富なノウハウを持つキャリア・アドバイザーによる包括的なサポートが受けられます。

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まとめ

潰瘍性大腸炎を抱えながら仕事を続けることは、多くの課題を伴いますが、適切な職場選びと職場環境によって十分に可能です。自分の症状と体調を正確に理解した上で、仕事内容とのマッチング度を慎重に検討することが重要になります。

現在の職場での配慮が不十分な場合は、障がい者枠での転職も視野に入れ、キャリア・アドバイザーをはじめとする専門家に相談することがポイントです。

エージェント・サーナ」では、プロのアドバイザーがあなたに寄り添い、障がいの特性に合った求人のマッチングや書類作成、面接対策のサポートなどを実施いたします。障がい者雇用での転職を検討されている方はぜひご相談ください。

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