業界3商社
商社業界の動向を理解しましょう。
商社の業務内容
商社とは、一般的に輸出入貿易や国内の物資の販売業務などの商業を行う会社と定義づけられています。メーカーと区別するために、卸売業者や中間流通業者と呼ばれることもあります。
取り扱う商品の分野は、食料品をはじめ衣料品、電気製品、医薬品、化粧品、繊維製品、金属、機械、精密機器、半導体、電子・OA関連、自動車、輸送機器、インテリア、スポーツ用品など多岐にわたっています。ありとあらゆる商品を取り扱っているのが商社業界の特徴といえます。
そんな商社業界は、幅広い商品やサービスを取り扱う「総合商社」と、特定分野に特化した「専門商社」に大別されます。
総合商社の特徴
総合商社は、三菱商事、三井物産、住友商事の財閥系3社と、伊藤忠商事と丸紅を合わせて大手5社といわれています。また、豊田通商と双日を含めて大手7社と呼ばれることもあります。
総合商社の事業は、「貿易業務(トレーディング)」と「事業投資」の2つに分けられます。貿易業務では仲介手数料、マージン収入、事業投資では、持ち分利益取り込みや配当、金利収入が収益構造となっており、従来は貿易業務が主体でしたが、近年は事業投資がメインの事業となっています。
中でも海外資源権益への投資は、膨大な利益を生みますが、世界経済に左右されやすいというリスクもあります。2015年の資源バブル崩壊により総合商社各社は大きな損失を出しましたが、近年の資源価格の復調もあり、金属資源、エネルギー資源事業に注力しています。また、「脱炭素化」への取り組みとして、再生可能エネルギーや低炭素エネルギー分野へも注力しています。
さらに、資源バブル崩壊を契機に、資源分野の業績不振などの経験から非資源分野の事業を強化し、食料、流通、自動車関連、インフラビジネスなどは着実に拡大しています。
総合商社各社は、今後を見据えた新たなビジネスモデルとして、人工知能(AI)などのデジタル領域に着目し、既存の事業基盤との融合をめざした取り組みを加速させています。
デジタル時代の中で、総合商社が新たに打ち出す事業領域は、メーカーをはじめさまざまな業界から注目されています。
専門商社の特徴
特定分野に特化した専門商社は、「鉄鋼」「機械」「電子・半導体」「化学」「食品」「医薬品」「日用品・化粧品」「繊維」「燃料・エネルギー」などの業種に分類されています。
それぞれの分野における専門商社の動きをみると、「鉄鋼」は世界経済の不透明要因もありますが規模の大きさから日本経済を支える存在であることは変わりなく、「機械」は投資意欲が旺盛ですが海外情勢にやや不安があるといえます。「電子・半導体」はAIやIoT関連が着実に増加し、「化学」は成長領域を見据えた事業ポートフォリオ(組み合わせ)の見直しが進んでいます。「食品」は国内市場の成熟化により海外戦略を強化し、「医薬品」は人口減少を踏まえたM&Aで枠組みの変化も起こっています。「日用品・化粧品」は物流やサプライチェーン(供給連鎖)の見直しが進み、「繊維」は技術力でメーカー系が優位となり、「燃料・エネルギー」は国際情勢の変化に対応できる効率化を推進しています。
電子・半導体系商社、化学、機械、燃料・エネルギーなどの分野では、自動車の電子化、5G(次世代移動通信)、AI(人口知能)やIoT(モノのインターネット化)の進展が、さまざまな形で波及していくでしょう。
専門商社の特徴は、得意分野に特化した専門知識やノウハウをはじめ多彩な商品群ときめ細かな対応力といえますが、人口減少などに伴い国内市場だけでは飽和状態になる分野や領域が出てくるでしょう。
その対応策として、事業ポートフォリオを組み換えるためのM&Aや、他の産業との連携による新たな事業領域の開拓、積極的な海外展開の動きが加速していくでしょう。
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