
障害者雇用で働く準備を進めている方のなかには、「応募したい求人が見つからない」「書類選考に落ちてしまう」など、思うように就活が進まず不安や焦りを感じている方もいるのではないでしょうか。
何度チャレンジしても就活がうまくいかない場合は、選考準備の進め方や自己PRの仕方などに問題があるかもしれません。
この記事では、障害者雇用で就活がうまくいかない原因や内定につなげるための具体的な対策、活用できる支援機関・サービスについて解説します。安定して働ける理想の職場を見つけるための一歩を踏み出しましょう。
目次
障害者雇用の就職活動がうまくいかない原因
障害者雇用での就活でなかなか内定がもらえない場合には、原因を特定して具体的な対策に取り組むことが大切です。
応募する職種や条件を限定し過ぎている
就活が行き詰まってしまう原因の一つに、希望する職種や会社の条件を限定し過ぎていることが挙げられます。
障害者雇用枠での求人数は、一般雇用枠に比べて少なくなります。希望条件を細かく設定し過ぎると、エントリーできる選択肢が狭くなり、「自分が希望する求人をなかなか見つけられない」といった状態に陥ってしまうことがあります。
応募書類に不備や空欄がある
障害者雇用での就活において第一の関門となるのが、書類選考です。
提出する応募書類に不備や空欄があると、それだけで「仕事への意欲が低い」「注意力に欠ける」と判断され、書類選考に落ちてしまう可能性があります。
▼応募書類が原因で選考に落ちてしまうケース
- 提出する書類が不足している
- 写真の貼り忘れや日付の記入漏れがある
- 自己PRや志望動機の記入ボリュームが少ない など
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自身の強みを分かりやすくアピールできていない
障害者雇用では、「障がいがあっても業務で活躍してもらえるか」「安定して長く働いてもらえるか」といった業務への適性や勤怠の安定性が重視されます。
職務経歴書や面接時に自身の強みを分かりやすくアピールできていない場合には、採用担当者が入社後の活躍イメージを持てず、不採用となってしまいます。
例えば、過去の職歴や保有スキルを説明するだけでは、具体性がなく「応募先企業でどのように業務に役立てられるのか」が伝わりません。その結果、採用担当者が業務の適性を正確に判断することが難しくなります。
障がい特性や必要な配慮が明確に伝わっていない
応募者の障がい特性や必要な配慮事項は、企業が「合理的配慮を提供できるか」を見極めるための重要な判断材料となります。
以下のようなケースでは「何ができて、何ができないのか」が明確に伝わらないほか、企業が配慮事項の対応可否を判断することが難しくなり、採用を見送られる原因になります。
▼障がい特性や必要な配慮が伝わらないケース
- 障がいの診断名や等級だけを記載している
- 「座った姿勢での作業を希望する」のように配慮事項が抽象的になっている など
応募先の企業に関する理解が不足している
応募先の企業に関する理解が不足していることも、選考に通過できない原因の一つです。
企業研究が不足しているとミスマッチが起きてしまうほか、志望動機が採用担当者に響かない内容となってしまい、応募者への興味を引くことが難しくなります。
▼企業研究が不足することによる問題
- 自分の障がい特性とマッチしない職種に応募してしまう
- 志望動機の具体性や根拠が欠けており「どこでもいいのでは」と思われてしまう
- 企業に対する貢献意欲が伝わらず「熱意がない」と捉えられてしまう など
障害者雇用の就活で内定につなげるための対策
就活がうまくいかない原因に当てはまる方は、応募先の選定基準や職務経歴書の書き方、面接での受け答えなどを見直してみることが大切です。ここからは、障害者雇用で内定を獲得するための対策を5つ紹介します。
➀自己分析で強みや適性を客観的に把握する
自己分析を通じて自己理解を深めることは、応募書類の作成や面接対策において重要なステップとなります。
自分の強みや適性を客観的に把握することで、自身の能力を発揮できる業種や職種を選択しやすくなり、応募先企業で「どのような能力を活かせるのか」「どのような業務で会社に貢献できるのか」といった、説得力のあるアピールポイントを見つけられます。
また、自身の障がい特性を深く理解することで、自分に合った仕事内容や働き方、必要な配慮が明確になり、応募時のミスマッチを防ぐことが可能です。
②希望条件の優先順位を明確にする
自己分析の内容を踏まえて、就職先の希望条件に関する優先順位を明確にすることがポイントです。業界や職種だけで絞り込むのではなく、仕事内容や職場環境に関する希望条件を3つ程度に絞ることで、応募先の選択肢を広げられます。
▼【具体例】希望条件の見直し方
| 見直し前 | 見直し後 |
| 事務職限定 | デスクワークであれば職種は問わない |
| 自宅から徒歩圏内 | 電車・バスを使って40分圏内 |
| 給与が〇万円以上 | 昇給制度や正社員登用がある |
応募先の選択肢が増えることで、これまで視野に入っていなかった求人が見つかる可能性があります。また、就活の軸が定まることで応募企業の選択に迷いが減り、スムーズに活動を進められるようになります。
③応募前に業界・企業研究を行う
求人に応募する前には、業界や企業に関する研究を十分に行うことが重要です。
企業の理念・事業内容・職務内容への理解を深めることにより、具体性や説得力のある志望動機を伝えられるようになり、採用担当者に貢献意欲や熱意をアピールできます。
▼企業研究の行い方
| 研究対象 | 研究内容 |
| 業界 | 業界の動向や将来性、市場における企業の立ち位置を理解する |
| 企業 | 企業の経営理念やビジョン、事業内容を把握する |
| 職務内容 | 応募職種の役割や求められる能力、具体的な業務内容を理解する |
企業研究は、企業のホームページだけでなく、ブランド・サービスサイトや公式SNSアカウント、ニュースリリースなどの情報を基に多角的に行うことがポイントです。
④応募先の企業に合わせた自己PRを行う
応募する業種や職種によって、企業が求めるスキルや性格特性は異なります。職務経歴書や面接で自己PRを伝える際は、応募先に合わせた内容にカスタマイズすることが重要です。
「自分の経験や強みを業務にどのように活かせるか」「企業の目標達成や課題にどのように貢献できるか」など、過去のエピソードや実績、行動を交えて伝えることがポイントです。
また、「○○は難しい」というネガティブな伝え方よりも「○○があれば問題なく業務ができる」といったポジティブな伝え方にすると好印象につながります。
▼【具体例】自己PRの書き方・伝え方
- 「前職で培ったデータ入力の正確性・スピードを生かして、貴社の経理事務でもミスのない作業に貢献します。」
- 「細かい作業への集中力には自信があります。この特性は、一般事務での業務に活かせると考えています。」
- 「PC用の補助器具を使用すれば、効率的に入力作業を行えます。」
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⑤障がい特性や必要な配慮を具体的に示す
障害者雇用枠での就業では、企業による合理的な配慮の提供が義務づけられています。採用担当者が業務の適性や職場への適応力を見極められるように、自身の障がい特性や必要な配慮については具体的かつ明確に示すことが重要です。
▼応募書類や面接時に伝えておく内容
| 内容 | 具体例 |
| 業務の遂行に必要な補助器具やツール |
|
| 対応が難しい作業 |
|
| 勤務時間の調整 |
|
また、「障がいによる困難への対処法」「日常的な体調管理」などの自己管理能力も併せて伝えると、採用担当者に就業意欲や熱意を示すことができます。
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障害者雇用の就活には外部支援を活用することも有効
就活が思うように進まないとき「自分は働くことが難しいのではないか」と悩んでしまうかもしれません。そのようなときは、一人で悩まずに外部の支援・サービスを積極的に活用することが大切です。
ハローワーク
地域のハローワークには、障害者専用の窓口が設置されています。ここでは、地域に密着した求人情報と、就職活動のための基本的な支援を無料で受けることができます。
▼主なサポート内容
- 職業相談
- 障害者雇用枠の求人紹介
- 求人応募の手続き支援
- 就職支援セミナー
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障がいのある方向けの通所型の福祉サービスです。職業訓練と就職活動のサポートを受けられるため、スキルを身につけて集中的に就業準備を整えたい方に適しています。
▼主なサポート内容
- 基礎的なPCスキルやビジネスマナーの訓練
- 応募書類の作成支援
- 職場での実習
- 入社後の定着支援
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、ハローワークと連携してより専門的な職業リハビリテーションを提供する機関です。ここでは、就職に向けた実践的な支援を受けられます。
▼主なサポート内容
- 求職者に適した職種・働き方の相談
- 職業準備の支援
- ジョブコーチ支援(職場への定着を支援する専門員によるサポート)
障害者雇用専門の転職エージェント
障害者雇用専門の転職エージェントは、民間企業が運営する転職マッチングサービスです。
ノウハウを持つキャリアアドバイザーによる一貫した転職活動の支援を受けられるため、「何から始めてよいか分からない」といった方も安心して就活を進められます。
▼主なサポート内容
- 非公開求人を含む障害者雇用枠の求人紹介
- 自己分析の支援
- 応募書類の添削
- 応募企業の傾向に応じた面接対策
- 採用担当者との労働条件の交渉
『エージェント・サーナ』は、障害者雇用に特化した30年以上の実績を持つ無料の転職エージェントです。希望条件の調整から面談対策、入社後のフォローまでキャリアアドバイザーと二人三脚でサポートいたします。
まとめ
障害者雇用での就活では、企業とのきめ細かな情報共有を通じてお互いのミスマッチを防ぐことがカギとなります。
応募書類や面接では、「自身の能力や経験を仕事でどう活かせるか」「どのような配慮を必要とするか」を明確に伝えることがポイントです。就活がうまくいかない方は、公的な就労支援機関や民間の転職エージェントに相談しましょう。
『エージェント・サーナ』は、障がいを持つ方の就職・転職を全面的にバックアップいたします。障がい特性・スキル・経験と、企業側の採用ニーズを踏まえて相性のよい求人を紹介することで精度の高いマッチングが可能になり、定着率は99.5%を実現しています。
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