
障がいを持つ方が新たなキャリアを築くにあたって「自分に合った転職先が見つかるのか」「どのように就職活動を進めればよいのか」と悩む方は少なくありません。
転職活動に不安を持つ方や行き詰っている方は、障がい者の就職を支援する公的機関・サービスに相談することも一つの方法です。
この記事では、障がいを持つ方の転職相談に特化した公的機関・サービスや活用する際のポイントについて解説します。
目次
障がい者の方が転職相談に活用できる公的機関・サービス
障がいを持つ方が転職相談を行う際は、障がいの特性や就労準備の段階に応じて公的機関・サービスを選定することが重要です。ここからは、各機関・サービスが提供する支援内容について紹介します。
①ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークは、国が運営する就職支援機関です。障がい者専用の相談窓口があり、専門職員や職業相談員がケースワーク方式によって就職・転職相談を行っています。各地域に特化した求人情報を得られるほか、基本的な就職活動のサポートを受けられます。
▼主な支援内容
- 専門職員や職業相談員による職業相談
- 一般雇用枠・障害者雇用枠での求人紹介
- 履歴書・職務経歴書の作成支援
- 面接対策
- 採用面接の同行 など
体調管理や基礎スキルの習得などの就労準備ができており、本格的な転職活動をスタートしたい方は、ハローワークへの相談を検討しましょう。
▼相談するとよい人
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②地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障がいを持つ方に専門的な職業リハビリテーションを提供する公的機関です。職業の相談からビジネスパーソンとしての基礎的なスキルの習得などをサポートしてくれます。
▼主な支援内容
- 職業能力や適性を客観的に把握する職業評価
- 職業訓練(ビジネスマナーやPCスキル)や職場体験などの就労準備支援
- ジョブコーチ(職場適応援助者)による入社後のフォローなど
自分に合った仕事や職種が分からない人や、就労準備を通じて自信を身につけてから転職活動を始めたい人は、地域障害者職業センターへの相談が適しています。
▼相談するとよい人
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③障害者就労・生活支援センター
障害者就労・生活支援センターは、全国の地方自治体に設置されている、障がいを持つ方の生活と就労を支援する機関です。雇用・保健・福祉・教育などとの関係機関と連携のもとで、仕事と生活の一体的な支援が提供されています。
▼主な支援内容
- 生活面と就労面の相談
- ハローワークや医療機関、障害福祉サービスとの連携
- 就職に向けた助言・支援(応募書類の作成支援、面接練習)など
初めて就職する人やブランクがある人など、生活基盤を整えながら就労準備を進めたい人は、障害者就労・生活支援センターに相談してみるとよいといえます。
▼相談するとよい人
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④就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障がいを持つ方が、就職に必要なスキルや知識を習得するためのトレーニングを提供する福祉サービスです。事業所に通いながら就職に向けた実践的なサポートを受けられます。
▼主な支援内容
- 一人ひとりの状況や目標に応じた個別支援計画の作成
- ビジネスマナーやPCスキル、グループワークなどの実践的な職業訓練
- 就労経験を積むための企業での職場実習
- 応募書類の添削
- 面接対策や模擬面接
- 就職後の定着支援 など
実践的な訓練や実習を受けられるため、ブランクがあり働くことに不安を感じている人や、長く安定して働くためにスキルや経験を身につけたい人などに適しています。
▼相談するとよい人
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⑤就労継続支援
就労継続支援は、一般企業での就労が難しい障がいを持つ方に対して、働くことによる社会参加を支援する福祉サービスです。A型とB型の2種類があり、それぞれ雇用契約の仕組みや支援内容が異なります。
▼主な支援内容
| A型 | B型 | |
| 雇用契約 | あり(事業所と雇用契約を結ぶ) | なし(非雇用) |
| 収入 | 最低賃金以上の賃金が保証 | 工賃(成果に対する謝礼) |
| 対象者 | 雇用契約に基づく就労が可能な人 | 一般就労やA型が難しい人 |
| 支援内容 | 雇用契約による作業指導、職業訓練、一般就労に向けた支援など | 個人の体調や能力に合わせた作業の提供、生活リズムの安定支援、レクリエーションなどの社会参加支援 |
就労継続支援に相談することで、一般企業での就労が難しい場合でもスキルアップや働くことを通じた社会参加を目指すことができます。
▼相談するとよい人
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⑥障がい者向け転職エージェント
障がい者向け転職エージェントは、障がいを持つ方の仕事探しから選考、入社までサポートを受けられる民間企業のサービスです。障害者雇用に専門的なノウハウを持つキャリアアドバイザーが転職活動を全面的にバックアップしてくれます。
▼主な支援内容
- キャリアアドバイザーによる職業相談
- 独自の非公開求人を含めた求人情報の紹介
- 応募書類の添削
- 面接対策、採用面接への同行
- 企業との条件交渉(雇用形態や給与、配慮事項など)など
自分が希望する条件の求人が見つからない人や選考が思うように通過しない人などは、転職エージェントに相談することでスムーズに内定へつながる可能性があります。
▼相談するとよい人
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障がいを持つ方が転職相談を行うときのポイント
自分に合った職場への就職を実現できるように、転職相談を行うときには自身の障がいや就労上の希望などを整理しておくことが重要です。ここでは、転職相談を最大限に活用して納得のいく転職を実現するためのポイントを解説します。
必要な支援を明確にする
本格的な転職活動を始める前に、「どのようなサポートを受けたいか」を明確にしておくことが重要です。相談先の公的機関・サービスによって提供する支援の内容は異なります。
例えば、「仕事の復帰準備を進めたいけれど、何から始めればよいか分からない」と悩んでいる場合は、まずは仕事と生活の両面を相談できる障害者就業・生活支援センターへ相談することがよいかもしれません。
また、初めての就職やブランクがある人は、就労移行支援事業所の職業訓練を通じて、基礎的なスキルを身につけてから転職活動を始めることも一つの方法です。
自己分析でできること・できないことを整理する
転職相談を行うにあたっては、自己理解を深めておくことが欠かせません。障がい特性や身体機能などは人によって異なります。事前に自己分析を行い「できること」「できないこと」を整理しておくことにより、相談員からの的確なアドバイスを受けられます。
▼「できること」の整理
- 過去の仕事で培ったスキル
- 得意な作業
- 性格的な長所 など
▼「できないこと」の整理
- 苦手・難しい作業
- 避ける必要がある職場環境
- 障がいや体調に影響を与える要因 など
また、自己分析を行うことで「自分に適性のある仕事」や「スキル・経験を活かせる新たな職種」などが見つかり、転職活動の選択肢が広がることもあります。
障がい特性を分かりやすく伝える
転職相談の場において、自身の障がい特性を分かりやすく伝えることは、適切な支援を受けるための土台になります。障がいの名称や等級だけでなく、日常生活での困りごとや障がいに伴う症状、就労上の課題などを具体的に伝えることが大切です。
▼【具体例】障がい特性の伝え方
- ○○の操作が難しく時間がかかるため、補助する器具やツールが必要
- 朝の体調が不安定なりやすい
- 発作や症状が起きた場合には○○の対処が必要 など
これにより、相談員が求職者の状況を理解したうえで就労形態の選定や適性のある職種、企業に依頼する配慮事項などについて具体的な提案を行えるようになります。
主治医の意見や助言を聞いておく
障がいの内容によっては勤務時間や仕事内容などに制限が生じる場合があります。転職相談を行う前には、主治医から就労に関する客観的な意見や助言を聞いておくことが必要です。
▼主治医に確認すること
- 身体的に負担のない勤務時間はどれくらいか
- 就労上で避けたほうがよい作業や職場環境はあるか
- 仕事と両立するためにはどのような配慮を求めるべきか など
主治医の意見・助言を聞いておくことにより、転職相談の際に客観的な判断が可能になり、無理なく安定した働き方を検討できます。入社後のミスマッチや早期離職を防ぐことにもつながります。
希望条件の優先順位を決めておく
転職先の希望条件について優先順位を決めておくと、就職のために必要な準備や就労形態の選定、応募先の選定などをスムーズに進められます。
複数の希望条件を満たす会社と出会うことは難しいため、「なぜ転職をしたいのか」「転職後にどうなりたいのか」を考えて、自身が譲れない条件を絞り込むことがポイントです。
▼優先順位を決める際に検討すること
- 給与
- 勤務地・通勤時間
- 雇用形態(正規・非正規)
- 業務内容
- 昇給・昇格の制度
- 福利厚生 など
優先順位を定めて転職活動の軸を持つことにより、相談員が希望に合った働き方や求人の提案を行えるようになり、後悔のない転職の実現につながります。
エージェント・サーナを利用した方の転職成功体験を紹介
『エージェント・サーナ』は、障害者雇用を支援してきた30年以上の実績を持つ転職エージェントサービスです。希望にマッチする求人の紹介から選考対策、企業との条件交渉まで、転職活動を手厚くサポートいたします。
ここからは、エージェント・サーナで転職を成功させた方の体験談を紹介します。
34歳/女性/企画職】やりがいのある仕事への転職
上下肢障がいを持つ方が新しい分野の仕事にチャレンジされた事例です。
▼転職理由
流通業で約8年間、書籍の流通に関する部門で働いていましたが、異動で仕事内容が大きく変わり、モチベーションを維持できなくなったことで転職を決めました。
▼転職活動の状況
「デスクワークで働けること」「正社員として仕事を任せてもらうこと」「業績に応じた評価を受けられること」といった軸を絞り、担当者から複数の企業を紹介してもらいました。面接では自己PRの伝え方のアドバイスを受け、仕事の姿勢やこれまでの成果をうまく伝えられたことで、内定の獲得につながりました。
▼転職後の感想
IT会社の企画部で新しいキャリアを築くことができたほか、オープンに話せる職場環境で働きやすさを感じています。不安を抱えながら働き続けるよりも、勇気を出して転職を決意してよかったと思っています。
3つの軸を決めて、やりがいのある仕事ができる企業を選びました
【46歳/男性/高校職員】契約社員から安定した正社員への転職
契約社員で働いていた方が安定した正社員での転職を成功させた事例です。
▼転職理由
左半身にマヒがあり、約1年半はデスクワークで働ける金融機関で契約社員として総務部の仕事をしていました。しかし、正社員登用がないことや待遇に差があることから将来の不安を感じ、安定した職場への転職を決断しました。
▼転職活動の状況
「正社員登用がある」「勤務地が近い」「業績に応じて昇給できる」という条件を決めて複数の転職エージェントに登録し、エージェント・サーナから希望に沿った企業を紹介してもらいました。学校法人という人と接する仕事であることや、本人の意欲や主体性を重視する方針に共感できたことから、内定をもらった際にすぐに入社を決めました。
▼転職後の感想
学校法人が運営する高校の職員として、生徒や保護者の方とかかわる仕事にやりがいを感じています。希望する条件や不安を正直にエージェント・サーナの担当者に伝え、サポートしてもらえたことにより、安定して働ける職場と出会えました。
エージェント・サーナの「利用者ファースト」で、より良い職場に出合えました
まとめ
転職活動は、障がい特性や能力に合った仕事を見つけて、よりよい環境で働くためのステップとなります。今回紹介した公的機関やサービスを積極的に活用して、自分らしく働ける職場への転職を目指してください。
『エージェント・サーナ』は、30年以上にわたって障がい者の転職を支援してきた経験とノウハウを生かして、一人ひとりの希望に合わせたサポートを提供します。求人情報の85%が独自の非公開求人となっており、適性や条件に合ったマッチングを支援いたします。






